後宮の女性たち 后妃たちの生活①

 唐朝の后妃たちは内官という制度によって、こんな↓感じにランク分けされていました。※パソコンでの閲覧推奨です。


              皇后(一人。皇帝の正妻)

               ↓ここから下は、名義上は皇帝の妾とされる。

        貴妃、淑妃、徳妃、賢妃(それぞれ一人)

               ↓

               九嬪

(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛、それぞれ一人)

               ↓

             婕妤(九人)

               ↓

             美人(九人)

               ↓

             才人(九人)

               ↓

            宝林(二十七人)

               ↓

            御女(二十七人)

               ↓

            采女(二十七人)


 合計で百二十二人です。こりゃ皇帝は頑張らないとですね!(意味深) また、皇太子の宮殿にも内官制度はありました。皇太子の妃嬪の場合は皇太子妃の他に、良娣、良媛、承徽、昭訓、奉儀などのランク付けがあったそうです。他にも、諸親王の王妃の下にも、孺人じゅじん媵妾こしもとなどの身分がありました。……それにしても、今回常用外の漢字出すぎですよね。変換するの面倒くさ……大変でした。


 后妃たちの生活は言うまでもなく豪華絢爛。皇帝の妃嬪には品階によって衣服、化粧費が支給されると法で定められていたので、后妃たちは日々贅沢の限りを尽くしていました。有名な話ではありますが、玄宗は愛する楊貴妃のために、彼女の好物であるライチ(※温暖な地方でしか育たない)を、四川から唐代中国の首都・長安まで早馬で運ばせていたのです。


 まあそんな感じで日々遊び耽っていた彼女らにも、一応しなければならないとされていた仕事はありました。なんせ、后妃たちは品階によって、果たすべき職務が定められていたので。美人は祭礼接客とか、才人は宴会や寝所の世話の他、衣服関係のことを管理し(※)、その年の収穫を帝に献ずる、とか。まあ、これは形式だけのことで、実際にきちんと果たされていたかは……ご想像にお任せします。

 ※本には「糸枲きいとあさのことをおさめ」とだけ書いてあって「ファー、何が言いたいねん、ここ」「また常用外の漢字が出よったで」と思わず関西弁でツッコんでしまいましたが、「生糸と麻のこと」=織物、ひいては衣服関係のこと。おさめ、は管理の意味だろうと解釈しました。自信はあまりありません! なので、皆さん「自分ならこう解釈するな~」と思われることがあったら教えてくださいね!


 后妃たちの他の仕事といえば、「養蚕」。民間の女性に養蚕事業の大切さを示すために、皇后の養蚕の儀式や皇后の宮殿で繭を献ずる儀式を主宰し参加する。などなどが后妃たちに求められた仕事だったのですが、養蚕だって身分が低い宮女たちに押し付けられていたと考えられてします。

 后妃たちに課された上記以外の仕事としては、祭祀、帝陵参拝、宴会などの儀式の参加などがあったそうです。

 上記の実際に果たされていたかは考えるまでもなく明らかな仕事を除く、最も大切な后妃たちの仕事はやっぱり「皇帝の側に侍る」こと。なので后妃たちは、皇帝の外出にお伴するとか、寝所に侍る時以外は、ゲームをしたりして憂さ晴らししていたそうです。ま、皇帝の寵愛を一身に受けているとかならまだしも、そうじゃない下の方の妃の場合は、毎日やることもなしにグータラしていたら、そのうち精神を病んでしまいそうですよね。

 不自由もないが、やりがいもそれこそ何一つない。妃の位を得たとはいえ、自分の代わりはいくらでもいる生活。このままここで生きていたって、いずれ惨めに朽ち果てるだけで、輝かしい未来なんて得られるはずがないことは分かっている。でも、後宮の外に出ることも、自分を顧みてくれない皇帝ではない、自分を愛してくれる男を探して家庭を築くことも、妃となったからには叶わない……。うわ~、病みそう……。

 贅沢はできるけれど心が満たされないこんな生活するぐらいなら、庶人の妻になってそれなりの苦労をしつつも子供を産み育て、温かい家庭を築きたかった、と涙を流した后妃は多かったでしょう。そしてそれは、妃嬪ではない、ただの宮女の場合も同じ。だからでしょうか。唐代では「宮怨」「婕妤怨」「長門怨」「昭陽怨」といった、詩人が后妃たちの苦悶と怨恨を詠んだ詩が大量に作られたそうです。

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