第18話

「あ~あ…。」

 

 私は夏の青空に向かって溜め息をわざと声に出してみた。

 たったさっきまで目の前にいた桂吾を連れていった青空に私の精一杯の抵抗、文句、恨みを込めて。

 私はただ桂吾と一緒にいたかっただけだった。それはそんなに大それた望みだったのだろうか?


「もっと一緒にいたかったな…。まだ貴方の事何も知らないじゃない。ねえ…」


 大きめに言った独り言も空気中をさ迷いそして吸い込まれる様に消えていった。


「『知ってる』って何よ…。最後なんだから嘘でも『俺も』くらい言う優しさはないのかな。」


 桂吾は美和さんに会えるかな?

 会えたら良いな。



 嘘。



 会えなければ良い。


 せっかく振り向いてくれたのに…。


 桂吾に会えなくなるなんて嫌だ。絶対に嫌だ。


 今日はとてもいい天気。飛ぶには最高の青空。


 あの日、絶望の中で飛ぼうとした空より今日の空は高く青い。


 桂吾に会いたい。会えるはず。

 

 その希望を目一杯抱いて私は



        飛んだ


                 完



 

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この空の青さが綺麗で ポムサイ @pomusai

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