人間相手に連敗中のバータリ帝国のガーゴイルの頼みで、憎めないダメっ子魔王さまが召喚されたコンサルタントのオーカさん。
この三人(?)――特に、魔王さまとオーカさん、とても素敵なコンビです。
「組織は知識、知らなければ死ぬの」と、いかにもビシっと決まったセリフに、いちいちしょげてたりした魔王さまが可愛くてしかたありませんでした。
帝国の名にもなっているバータリ=場当たり。まさに無計画でざっくりな戦略とも呼べない戦略しかなかった彼らの姿が、いわゆるブラックな職場と重なってしまった方も少なくないと想います。
しかし、やっぱりダメっ子だけど憎めない魔王さま。
憎めないし、やっぱりこの方しか魔王さまはいないと思えるのは、やはり素直にオーカから計画することの大事さを学んでいるからかもしれません。いわゆるブラックな職場の上司は、こんな風に学んだりでき(以下自粛)
これからも、頑張れ、魔王さま!!
異世界コメディの体裁をとっているけれど、その中味はしっかりとした組織マネジメントのハウツー本という、一粒で二度美味しい本作品。
特に、30代〜40代の働き盛りのビジネスマンにとっては、これはある!と思わず同意してしまうようなネタが満載です。
思いつきですぐ人を振り回す迷惑上司や、なぜこの仕事をしているのかを理解できない部下。
そんな不完全な魔王軍を救うべく召喚されたのは、現代の美人コンサルタント!
一時期話題になった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」を、さらにライトノベル寄りのコメディに仕立てたような作品で、通勤の合間にちょこちょこと読み進められる文章量も良く、1話ごとによくわかる解説があって単なるコメディに終始しないのも、入門系書籍らしくてよくできています。
上司に恵まれなかったら、スタッフさー……ではなく、こう言ってやりましょう。
「組織は知識。知らなければ死ぬの!」