張玄   狗竇を開ける  

謝玄しゃげんと共に「二玄」と称された、

張玄ちょうげんのお話である。


かれが八歳の頃、歯が欠けてしまった。


近所の年上の者たちは、

常々張玄にやり込められていたのだろう。


張玄に起こったこの異常事態を、

ここぞとばかりにからかってくる。


「おいおい、あなたはどうしてまた、

 口の中に犬にくぐらせる穴を

 開けたのだ?」


すると張玄、しれっと答えるよ。


「あぁ、あなたがたを

 通そうと思いましてね」


おい犬ころども、

ならこの穴にお前らが通れよ、

ってなもんである。




張吳興年八歲,虧齒,先達知其不常,故戲之曰:「君口中何為開狗竇?」張應聲答曰:「正使君輩從此中出入!」


張吳興の年八歲なるに、齒が虧け、先達は其の常ならざるを知り、故に之に戲れて曰く:「君が口中は何ぞ狗竇を開くるを為さんか?」と。張は聲に應じて答えて曰く:「正に君らが輩をして此の中より出入らしめん!」


(排調30)




何だこのエグい八歳児……。

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