毛玄   蘭となりて折らる

桓温かんおん幕僚にリストアップされなかった、

桓温様の部下が一人いる。


毛玄もうげん、という人だ。


あの第一変換が妄言なの

勘弁してくださいませんか。


ともあれ彼はその才覚を自負しており、

こんなことを口走っていた。


「蘭の花として

 手折られるような人生が良い。

 よもぎよもぎ、要は雑草どものごとく

 地べたに繁茂など

 しておれようものかよ!」




毛伯成既負其才氣,常稱:「寧為蘭摧玉折,不作蕭敷艾榮。」


毛伯成は既にして其の才氣を負い、常に稱すらく:「寧ろ蘭を摧し玉折を為すも、蕭の敷かれ艾の榮えたるを作さざらん」と。


(言語96)




毛玄

「桓温の参軍になった」としか書かれていない辺りお察しなその後である。そこまでは良かったんですけど、なにぶん桓温幕僚とか化けもんばっかりだったでしょうしねえ。残念っ!



なおかれのコメントは

楚辞そじ離騒りそうが出典だ、とのこと。



人好惡其不同兮 惟此黨人其獨異

戶服艾以盈要兮 謂幽蘭其不可佩

 人々は、全くもって俺様の価値を

 理解していない!

 まったく、卑しい身なりでもって、

 気高い志を持つ者なぞ

 どこにもおらんのだ!


とか、


何昔日之芳草兮 今直為此蕭艾也

 どうしてまた昔は

 かぐわしき花であったものが、

 今はすっかり匂い草なんぞに

 落ちぶれておれるのだ!



辺りから引っ張ってきたのだろう、とのこと。


つーか後段は

桓温さまに聞かせてみたいですわね?

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