東晋の人たち

衛展   草木もこき使う 

衛展えいてんという人がいた。

衛瓘えいかん衛玠えいかいの親族である。

詳しいつながりはわからない。


かれは尋陽じんようという町に住んでいた


そこに旧知の人がやってきて、

泊めてくれ、という。


うん、まぁいいけどね?

飯なんか出さないよ?


……と言うのも心が引けたのか、

薬草だけは提供してやった。

王不留行おうふりゅうこう」と呼ばれる薬草だ。


えっ、宿泊客に薬草一本だけ?

いくらなんでも、そりゃねーわ!


客人氏、出て行ってしまった。


さて、この話を

かれの姉の子、李充りじゅうが聞く。

そうすると、李充は言うのだ。


「叔父さんもずいぶんひどい人だな、

 草木まででこき使うなんて」




衛江州在尋陽,有知舊人投之,都不料理,唯餉「王不留行」一斤。此人得餉,便命駕。李弘範聞之曰:「家舅刻薄,乃復驅使草木。」


衛江州の尋陽に在すに、舊知の人有りて之に投ず。都べて料理せず、唯だ「王不留行」一斤のみ餉る。此の人の餉を得るに、便ち駕に命ず。李弘範は之を聞きて曰く:「家が舅は刻薄なれば、乃ち復た驅して草木をも使わん」と。


(儉嗇6)




本文では衛展の振る舞いに文句言ってんのが李軌と言う事になっているが、内容を調べると「いやこれ明らかに李充のことだったろ」って話になった。なのでここでは注に従います。

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