無名少年 おこり     

西晋せいしん時代のある時、

ある少年の父親が病にかかった。


少年、薬屋に行って薬を乞う。

すると主人が聞く。


「なんの病になったのでしょうか?」

「おこり(マラリア)です」


ん? 薬屋氏、首をかしげる。

言い伝えでは、マラリアは

小者にしかかからない病だ、

とされている。


「待ってください、

 あなたのお父様は、ご立派な方。

 なぜおこりになどかかるのです?」


すると少年は答える。


「その病が、君子を虐げております。

 ゆえに「疒」に「虐」、

 おこりだ、と言ったのです」




中朝有小兒,父病,行乞藥。主人問病,曰:「患瘧也。」主人曰:「尊侯明德君子,何以病瘧?」答曰:「來病君子,所以為瘧耳。」


中朝に小兒有り、父の病せるに、行きて藥を乞う。主人は病を問い、曰く:「瘧に患じたるなり」と。主人は曰く:「尊侯は明德君子なるに、何ぞを以て瘧を病せんか?」と。答えて曰く:「來りて君子を病ましむ、以て瘧と為したる所なるのみ」と。


(言語27)




少年、君の孝の思いはわかった。けどな、薬屋には正しい病名を言おうな? 現状だと「パパが病に苦しめられていてかわいそう!」しか、薬屋氏に情報行ってないからな?


それにしても誰一人として名前が上がらないとかマジか。

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