司馬冏2 いったれ張翰さん
かれは「今阮籍」として、
その振る舞いが注目されていた。
時折りしも
呉の名将・
皇太孫・
途中の
賀循は船中で琴を弾いていた。
さて、金昌亭には彼がいた。
そう、張翰である。
涼やかな琴の音に引き寄せられ、
ひょいと船に入り込み、賀循のもとに。
なおこの二人、これが初対面。
ナイスな琴だね! サンキュー!
そこから二人は楽しく語らい合った。
「君はこれから、どこに行くのかね?」
「洛陽でのお仕事を拝命したのだよ。
今は、その道すがらだ」
「そうか! 実はぼくもなのだ」
まぁ嘘なんですけどね。
こうして張翰、
賀循と一緒に洛陽に向かった。
ちなみに張翰、
家族にこのことは伝えていなかった。
のちのちに行方不明の
主人の様子を聞いて回り、
はじめて事態を知ったのである。
そこからしばし、洛陽暮らし。
だいぶ名声が上がっていたようである。
なんと、召喚を受けた。
求めに応じ、出仕しようとする。
その時洛陽に、涼やかな秋風が吹いた。
張翰、故郷を思う。
この時期は名産品「まこも」のスープ、
「あぁ、人生は
意のままであってほしいものだ。
何が悲しくて、こんな故郷から
数千里も離れた地で
官途に縛られた名声なぞ
受け容れておれようか!」
そうして旅具を手配し、帰郷。
しばしして司馬冏さまは敗死。
やっべ張翰エスパーじゃね?
みんなそう噂し合ったそうな。
呉に戻った張翰。
かれに、親友・
静かに横たわる顧栄の枕元には、
琴が置いてあった。
顧栄が好んで弾いていたものだ。
張翰、しばし慟哭をしたあと、
枕もとの琴に手を伸ばす。
そこから数曲を歌い上げると、
琴を撫でながら、言う。
「顧栄どの。たむけだ。
聴き遂げて頂けたであろうかな」
そう言うと再び慟哭、
遂には喪主である嫡子、
賀司空入洛赴命,為太孫舍人。經吳閶門,在船中彈琴。張季鷹本不相識,先在金閶亭,聞絃甚清,下船就賀,因共語。便大相知說。問賀:「卿欲何之?」賀曰:「入洛赴命,正爾進路。」張曰:「吾亦有事北京。」因路寄載,便與賀同發。初不告家,家追問迺知。
賀司空の洛に入り命に赴けるに、太孫舍人と為る。吳の閶門を經、船中に在りて琴を彈く。張季鷹は本より相い識らざれど、先に金閶亭に在りて絃の甚だ清きを聞き、船を下り賀に就き、因りて共に語る。便ち大いに相い知り說ぶ。賀に問うらく:「卿は之きて何ぞを欲さんか?」と。賀は曰く:「洛に入りて命に赴き、正に爾るべき路を進まん」と。張は曰く:「吾れも亦た北京に事有り」と。因りて路に寄載し、便ち賀と同發す。初にも家に告げず、家は追いて問い迺ち知る。
(任誕22)
張季鷹辟齊王東曹掾,在洛見秋風起,因思吳中菰菜羹、鱸魚膾,曰:「人生貴得適意爾,何能羈宦數千里以要名爵!」遂命駕便歸。俄而齊王敗,時人皆謂為見機。
張季鷹は齊王に東曹掾に辟され、洛に在りて秋風の起つるを見、因りて吳中の菰菜の羹、鱸魚の膾を思い、曰く:「人生は意に適えるを得るを貴ぶのみ、何ぞ能く數千里に羈宦し、以て名爵を要えんか!」と。遂に駕に命じ便ち歸す。俄にして齊王は敗れ、時の人は皆な見機を為したりと謂ゆ。
(識鑒10)
顧彥先平生好琴,及喪,家人常以琴置靈床上。張季鷹往哭之,不勝其慟,遂徑上床,鼓琴,作數曲竟,撫琴曰:「顧彥先頗復賞此不?」因又大慟,遂不執孝子手而出。
顧彥先は平生にして琴を好み、喪ぜるに及び、家人は常に琴を以て靈床が上に置く。張季鷹は往きて之に哭し、其の慟に勝らず、遂には上床を徑、琴を鼓し、數曲を作し竟え、琴を撫して曰く:「顧彥先は頗しく復た此を賞じたらんや不や?」と。因りて又た大いに慟き、遂には孝子が手を執らずして出づ。
(傷逝7)
張翰さんフリーダムだwwwwww
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