王忱2 お前が来いよ
こんな話がある。
王忱の叔父たる
これは二人を知り合いにするチャンス。
范寧、二人を語らせ合おうと仕向ける。
そこで張玄は襟元を正し、
王忱の正面に着座。
だが、一方の王忱。
ただ、じっと張玄を見つめるのみ。
それ以外の対応はしない。
ちぇっ、なんだよ、シカトかよ!
がっかりした張玄、
その場を立ち去ってしまった。
ちなみに范寧、王忱の母の兄弟である。
おじどの、顔を潰されてしまったわけだ。
なので言う。
「張玄は呉郡の名士!
こうして出会った良縁を、
そのように一蹴する意図が
まるで理解できぬ!」
ははっ、舅どの、いやだなあ。
王忱は言う。
「かれは、このおれと
接点を持ちたかったのでしょう?
ならばかれ自身がおれのもとに
訪問してくるべきです」
えっ、そう言う事なの?
その意図の傲岸さはともかく、
求めているところはわかった。
范寧、すぐに報せを張玄に飛ばす。
すると張玄も改めて身なりを整え、
王忱のもとに訪問した。
そこで初めて二人は
杯を交わし合いながら対話。
どちらにも恥じ入る色は
一切なかったという。
張玄與王建武先不相識,後遇於范豫章許,范令二人共語。張因正坐斂衽,王孰視良久,不對。張大失望,便去。范苦譬留之,遂不肯住。范是王之舅,乃讓王曰:「張玄,吳士之秀,亦見遇於時,而使至於此,深不可解。」王笑曰:「張祖希若欲相識,自應見詣。」范馳報張,張便束帶造之。遂舉觴對語,賓主無愧色。
張玄と王建武は先に相い識らず、後に范豫章が許にて遇い、范令は二人をして共に語らしむ。張は因りて正坐し衽を斂め、王は孰視せること良や久しうし、對さず。張は大いに失望し、便ち去る。范は苦しば譬し之を留めど、遂には住まるを肯んぜず。范は是れ王の舅にして、乃ち王を讓りて曰く:「張玄は吳士の秀にして、亦た時に遇せられど、此く至らしむること深く不可解なり」と。王は笑いて曰く:「張祖希の若し相い識らんと欲さば、自ら應に詣でたるを見たるべし」と。范は馳せて張に報さば、張は便ち束帶し之に造る。遂に觴を舉げ對語せるに、賓主に愧づる色無し。
(方正66)
自負心と言うか、何てめえ付き合いを持ちたいってのに人づてなんてビビりみてえなことしてやがんだよ、正面からこっちにこんかい、みたいな感じにも受け取れますわね。それにしたって間を取り持った舅どのにしてみりゃ泥をツラに塗ったくられたまんまなわけですが。この方正と、任誕簡傲との境目の薄さよ……。
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