謝万1  曲阿湖に臨む  

蘭亭会らんていかい参加者 謝万しゃまん 全2編

 既出:簡文23、桓温15、謝安33

    謝安42、謝安49、謝安53

    謝安54、謝安55、謝安61

    殷浩4、王羲之3、王羲之10

    王敦14、何充4、王述2

    孫綽3、支遁7、支遁11



謝万が京口けいこう近くにある湖、

曲阿湖きょくあこに差し掛かった。


湖である。故に、流れていない。

ふだん湖を見たことがなかったのだろう、

謝万は周囲の者に聞いた。


「この水たまりは何なのだ?」


「ここは曲阿湖にございます」


あぁ、湖!

なるほど、聞いたことあるわ!

これがそうなのか!


「水は低きに居る、と言う事か。

 この場にすっぽりとはまって、

 流れ出すことがないのだ!」



                

謝中郎經曲阿後湖,問左右:「此是何水?」答曰:「曲阿湖。」謝曰:「故當淵注渟著,納而不流。」


謝中郎は曲阿の後湖を經るに、左右に問うらく:「此れや是れ、何ぞの水か?」と。答えて曰く:「曲阿湖なり」と。謝は曰く:「故より當に淵の注渟せること著しく、納まりて流れず」と。


(言語77)




おそらく老子ろうしの八章「上善は水の如し。水は善く萬物を利す。而して爭わず、衆人の惡みたる所(=人々は好んで低地には行きたくない、の意)に處す」から来てるんじゃないか、と言う事だ。しかし「この水なに?」って聞き方、妙に可愛いぞ謝万くん。

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