王薈王蘊   酒を語る    

蘭亭会らんていかい参加者 王蘊おううん

 既出:簡文28、王恭8、謝尚4



お酒について

語っている人はこれまでもいた。


そろそろこの辺りで、

お酒について語っている人たちを

一斉に紹介してみよう。



まずは王蘊おううん王恭おうきょうの父だ。

かれは言っている。

「酒は私を遠き境地に

 連れていってくれる」と。



東晋とうしん初めころの放埓人、畢卓ひったくは言う。

「片手に蟹のハサミ、

 片手に酒杯。

 そうして、酒の池の中に浮かぶ。

 そんな境地に至れば、

 もう人生なぞ終わってもいい」と。



また王導おうどうさまの末っ子、王薈おうわい

かれは言う。

「酒は人に素晴らしい

 景色を見せてくれるよな!」と。




王光祿云:「酒,正使人人自遠。」

王光祿は云えらく:「酒は正に人人をして自ら遠からしむ」と。

(任誕35)


畢茂世云:「一手持蟹螯,一手持酒桮,拍浮酒池中,便足了一生。」

畢茂世は云えらく:「一手に蟹螯を持ち、一手に酒桮を持ち、酒池が中に拍浮せば、便ち一生を了うるに足る」と。

(任誕21)


王衛軍云:「酒正自引人箸勝地。」

王衛軍は云えらく:「酒は正に自ら人を引きて勝れる地に箸けん」と。

(任誕48)




王蘊

蘭亭会に登場する人物は王蘊之おううんしなのだが、どう考えてもこの人のことでしょう、みたいな感じで仮託しています。この人自身もそれなりの名士で、娘を皇帝に嫁がせているわけで、まぁすごくないわけはないはずなのだが、いまいち目立ってこないよねえ。


畢卓

胡毋甫之こむほしと知遇を得ていたり温嶠おんきょうさんと仲良かったりするけど、人事部の仕事を放り出して人んちの酒蔵の酒を盗んで飲もうとして捕まる人。ひでえな、なんだこいつ。


王薈

世説新語での扱いがだいぶザコ的。載ってるだけましと言う感じではあるんだろう。けど鎮軍将軍みたいな顕位に登ってるんだよなあ。なお息子の王廞おうきんが反乱を起こして劉牢之りゅうろうしにブッ叩かれて逃亡し、孫の王華おうか劉宋りゅうそう黎明期のきな臭さにもろ関わってる。王薈本人もきっと面白い人なのだろうが、系譜が琅邪ろうや王氏の闇って感じがして素敵である。

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