王徽之3 ふんわり郗恢さん
そう言う関係性の人だ。
立派な風采の持ち主だったが、
殺されている。
そんな郗恢のことだ。
かれは
かれについて、
郗恢はこう讃えている。
「謝敷殿の見識は他者に卓絶している、
と言うわけではない。
だが、そのお心より、
余計な波風が一切排除されている」
居士、つまり隠者だ。
名門を率いるべき立場の者として、
隠者である謝敷の振る舞いに、
どんな思いを懐いていたのか、を
想像させるコメントである。
そんな郗恢の家に、
応接の準備のためだろう、
郗恢は王徽之を応接間に通し、
一度家の奥に引っ込む。
応接間に一人残った王徽之、
そこにある、ふかふかのカーペットに
心奪われる。
「郗恢のやつ、こんなもの
どこで手に入れやがったんだ?」
そんなことを思うそばから、即行動。
王徽之さんです。
側仕えに命じ、そのカーペット。
自宅に持って帰っちゃった。
さて、応接間に戻ってきた郗恢。
ない。カーペットが。
「?」
そんな郗恢に、王徽之は言う。
「なんか突然力持ちの男が入ってきて、
どっかに持って逃げてったぞ」
お前。
いいけど。いやよくねえよ。
それを聞いて郗恢、
あぁ、まあそんなこともあるか。
さらっと受け入れるのだった。
郗尚書與謝居士善。常稱:「謝慶緒識見雖不絕人,可以累心處都盡。」
郗尚書は謝居士と善し。常に稱うるらく:「謝慶緒が識見は人に絕せずと雖ど、以て心を累わすべき處は、都べてを盡く」と。
(棲逸17)
王子猷詣郗雍州,雍州在內,見有(翕毛)(登毛),云:「阿乞那得此物?」令左右送還家。郗出見之,王曰:「向有大力者負之而趨。」郗無忤色。
王子猷は郗雍州を詣で、雍州の內に在らば、(翕毛)(登毛)の有りたるを見、云えらく:「阿乞は那んぞ此の物を得たらんか?」と。左右をして家に送還せしむ。郗の出で之を見らば、王は曰く:「向に大力なる者有り、之を負いて趨りぬ」と。郗に忤らう色無し。
(任誕39)
郗恢さん、晋書で読んだ時にはずいぶん優柔不断なオッサンだなって思ってみてたが、このエピソードたちを読むと、謎の超越感を発揮してんなーって思った。これ、さては殺されるときにも「んー、まぁそんなこともあるのか」的な感想しか抱かなかったとか? いや、そうだとしたら面白いよな、ってだけのことですけれども。
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