劉伶3 重度のアル中
ちょっと酒が切れると、
すぐに妻に酒を求める。
そしたら奥方、遂に堪忍袋の緒が切れた。
酒を捨て、酒壺を割り、
劉伶に泣いてすがる。
「いくらなんでも、
飲み過ぎではございませんか!
このままではあなた様の
身が損なわれてしまいます、
どうか、これ以上は!」
こうして劉家からは、
ありとあらゆる酒が失われてしまった。
ふむ、と劉伶。答える。
「全くその通りだ。
だが、自分一人では
酒断ちをできる気がせん。
そこで我が先祖や神々の力を借り、
彼らに誓いを立てることで
酒を断つこととしよう。
なので、お前よ。
祭祀のための酒と肉を
用意してはくれんか」
これを聞き、奥方大喜び。
「えぇ、もちろん!
喜んで準備いたしますわ!」
こうして設けられた祭壇。
その上には、先祖の霊や神々のための
捧げもの、としての酒と肉。
あっダメな奴だこれ。
さあ、お前さま、宣誓を!
うきうきで語る奥方の前で、
劉伶、祝詞をあげる。
こんな内容だ。
天生劉伶 以酒為名
天は劉伶を生むにあたり、
飲酒ぶりで名を知らしめさせた。
一飲一斛 五斗解酲
たちまち一斛を飲み干し、
二日酔いを覚ますためには五斗。
婦人之言 慎不可聽
ならば奥方の言葉、
その名声のためにも、
随っておれようか。
そして供え物の酒を飲み干し、
肉をかっ喰らい、
べろんべろんに酔っぱらうのだった。
劉伶病酒,渴甚,從婦求酒。婦捐酒毀器,涕泣諫曰:「君飲太過,非攝生之道,必宜斷之!」伶曰:「甚善。我不能自禁,唯當祝鬼神,自誓斷之耳!便可具酒肉。」婦曰:「敬聞命。」供酒肉於神前,請伶祝誓。伶跪而祝曰:「天生劉伶,以酒為名,一飲一斛,五斗解酲。婦人之言,慎不可聽。」便引酒進肉,隗然已醉矣。
劉伶は酒に病み、渴えたること甚しく、婦より酒を求む。婦は酒を捐じ器を毀ち、涕泣し諫めて曰く:「君が飲は太はだ過なり、攝生の道に非ず! 必ずや宜しく之を斷つべし!」と。伶は曰く:「甚だ善し。我れ自ら禁ず能わず、唯だ當に鬼神を祝し、自ら之を斷つるを誓わんのみ! 便ち酒肉を具すべし」と。婦は曰く:「敬して命を聞かん」と。酒肉の神前に供ぜらるに、伶に請うて祝誓せしむ。伶は跪き祝して曰く:「天は劉伶を生み、酒を以て名を為さしめ、一に一斛を飲み、五斗にて解酲す。婦人の言,慎みても聽きたるべからず」と。便ち酒を引き肉に進み、隗然として已にして醉いたり。
(任誕3)
ちょっと措置入院が必要じゃないですかねこの人……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます