名士伝

名士編  前書き     

以上、崔浩さいこう先生の「五胡十六国ごこじゅうろっこく」講座に登場する人物に、登場はしないけれども、政局を見るうえでは非常に重要な人物、を加えてお送りしました。


ここからは、少し目先を変えていきます。この世説新語は小説であり、即ち、文学。そうすると、政治的芸術的に著名であった人々のほか、文学的な意味で著名であった人たちのウェートも大きくなります。これまでの人物を追っていく中で、彼らの存在感は決して無視できるものではなかった。


例えば何晏かあん、例えば竹林七賢ちくりんしちけん


いやね、このデイリー世説新語、アホなんですよ。世説新語と言えば、普通竹林七賢について語られるもんです。なのにそこをほぼシカトしてきました。何故かというと東晋とうしん政治史的な方に興味のウェートがあったから。けど、これまで政治史的人物を追って来て、ようやく彼らの存在も大きい、と実感できました。


故にここからは、いわゆる「名士」と呼ばれる人物を追います。世説新語や劉孝標りゅうこうひょう注、箋疏せんそに言及されている「すごい人物のグループ」を援用、これをグループごとに追う。そう言う事をしていきます。


以下、それらグループとその構成メンバー、及び各人物の「崔浩先生」編終了時点での紹介状況を紹介します。



○建安七子+華歆

曹操曹丕の代で文学的に出色だった人たち。ただし、ソソサマを強くアピールしたいからなのかな、七子は全然載っていません。あんまりにも寂しかったので、華歆さんに合流していただくことにしました。そして華歆さんのほうが七子より多いと知って泣きましたよね……陳琳とかめっちゃ読みたかったっちうねん……。

 孔融こうゆう 1/4

 陳琳ちんりん 0

 徐幹じょかん 0

 王粲おうさん 1/1

 応瑒おうよう 0

 劉楨りゅうてい 1/1

 阮瑀げんう 0

華歆かきん 2/5


○正始名士

袁宏が、その著作「名士伝」でピックアップした三名。「正始の響きあり」という表現は、清談誕生を高らかに称揚している語句として用いられます。

 夏侯玄かこうげん 5/9

 何晏かあん 5/10

 王弼おうひつ 1/6


○竹林七賢

正始名士と同じく、袁宏が「名士伝」中にてピックアップ。名士伝発刊以前にも名高かった人たちだとは思います。どのタイミングで彼ら七人がカテゴライズされるようになったんだろうね。

 阮籍げんせき 6/21

 嵆康けいこう 11/23

 山涛さんとう 6/18

 尚秀しょうしゅう 2/7

 劉伶りゅうれい 1/7

 阮咸げんかん 0/6

 王戎おうじゅう 10/37


○中原名士

やはり「名士伝」より。三國志からここまで離れちゃうと、知名度がヤバいw 誰一人として「あー、あの人ね!」って言える人はいないんじゃなかろうかレベルです。むろんここまで世説新語と付き合ってきたぼくは「出たよ王衍w」と爆笑。

 裴楷はいかい 10/17

 楽広がくこう 6/16

 王衍おうえん 14/40

 庾敳ゆがい 8/14

 王承おうしょう 6/11

 阮瞻げんせん 2/5

 衛玠えいかい 4/12

 謝鯤しゃこん 9/10


賈謐かいつ二十四友+蘇紹そしょう王愷おうがい

西晋における、ほんの僅かな間きらめいた時代を彩った人物たち。あの・・賈充さんの孫である韓謐、賈氏に養子入りして賈謐となった西晋きってのどセレブが集めた名士たちです。その中の一人である石崇が開催した金谷の会が、文学的に非常に重要な意味合いを持っており、となればそこに参加していた二十四友の皆さまについては追っておきたいところ。あと、賈謐にまるで絡んでないのに金谷会ナンバーワンと謝安に認定された蘇紹とか、石崇に(やや一方的な)ライバル意識を燃やしていた王愷を語ります。

 賈謐かいつ 0

 石崇せきすう 7/11

 歐陽建おうようけん 0/1

 潘岳はんがく 4/9

 陸機りくき 紹介済み

 陸雲りくうん 紹介済み

 繆征びゅうせい 0

 杜斌とひん 0

 摯虞しぐ 0/1

 諸葛詮しょかつせん 0

 王粹おうすい 0

 杜育といく 1/1

 鄒捷すうしょう 0

 左思さし 1/3

 崔基さいき 0

 劉瑰りゅうかい 0

 和郁わいく 0

 周恢しゅうかい 1/2

 牽秀けんしゅう 0

 陳眕ちんしん 0

 郭彰かくしょう 0

 許猛きょもう 0

 劉訥りゅうとつ 1/1

 劉輿りゅうよ 2/3

 劉琨りゅうこん 紹介済み

蘇紹そしょう 1/1

王愷おうがい 2/7

あっ蘇紹終わっちゃってた。


○兗州八伯+何充褚裒王述

劉孝標がその注の中で紹介していた、晋書羊曼伝に載っている兗州に本貫を置く八人の達した人たち。これは誰の提唱によるのかは謎。王導世代の凄い人たち、という感じです。追加している三人は世代が落ちるんですが、この三人ももう一つ下の世代で名士集団みたいなのが形成されていたとしたら載ってたと思うんですよねー。なので、こちらに追加させて頂いたのです。

 阮放げんほう 0

 郗鑒ちかん 紹介済み

 胡毋輔之こむほし 2/3

 卞壼べんこん 4/6

 蔡謨さいも 6/8

 阮孚げんふ 1/5

 劉綏りゅうすい 2/3

 羊曼ようまん 1/2

何充かじゅう 6/15

褚裒ちょぼう 3/10

王述おうじゅつ 10/17


○簡文文壇+支遁許詢

品藻36で名前が一斉にピックアップされている人たち。実際のところ世説新語的に最も層が厚いのはこの人たちであって、という事は、一番書きたかったのはこの人たちのことだったのだ。日本人的には「竹林七賢のことを知れる書」的な扱いですけど。まぁこの人たちはある意味で体制側の人たちですから仕方ないですわな。そしてここに名前が挙がっていないけれども、簡文文壇で存在感を示している二人を追加。

 劉惔りゅうたん 44/80

 王濛おうもう 32/58

 桓温かんおん 紹介済み

 謝尚しゃしょう 16/26

 阮裕げんゆう 8/13

 袁喬えんきょう 3/5

 殷融いんゆう 2/4

 孫綽そんしゃく 18/32

支遁しとん 18/49

許詢きょじゅん 10/20

劉惔には、実は劉カイという人が合流しています。多分別人なんでしょうけどきにしない。わかんないし。


○桓温幕僚

文学80にて箋疏が引く余知古よちこの「渚宮舊事しょきゅうきゅうじ」に乗っているメンツ。世説新語に載ってる人物ばっかなのは、たぶん偶然じゃないんでしょうねー。って阮放は兗州八達の人なのかしら? そしたらむしろ桓温より年上にはなるよなー。まぁ、じいや枠なのかな。

 習鑿齒しゅうさくし 3/4

 袁宏 13/15

 謝安 紹介済み

 王坦之おうたんし 14/28

 孫盛そんせい 4/6

 孟嘉もうか 1/2

 王珣おうしゅん 13/24

 羅友らゆう 2/2

 郗超ちちょう 紹介済み

 伏滔ふくとう 1/4

 謝奕しゃえき 6/7

 顧愷之こがいし 紹介済み

 王徽之おうきし 7/18

 謝玄しゃげん 紹介済み

 羅含らごん 1/2

 范汪はんおう 2/2

 郝隆かくりゅう 2/4

 車胤しゃいん 2/2

 韓伯かんはく 5/18

 阮放げんほう 0


○蘭亭会参加人物

王羲之の書「蘭亭序」で有名な詩会に参加した人たち。二ラウンド制で、二ラウンド共に詩を詠めた人、一ラウンド分しか詠めなかった人、一ラウンド分も詠めなかった人、でグレード分けがなされていて、……ただこれ、本当に成績順なのかなあ。こんな都合よくメジャー人物ばっかが上位に来るなんてことあるのかしら。と言いたいところではあるんだけれども、当時のトップ名士の一人として名高かった王献之くんが一句も読めなくて罰杯喰らってるのを見ると、そんなもんなのかもなーとは思ってしまったり。


二首書けた人物

 王羲之おうぎし 紹介済み

 謝安しゃあん 紹介済み

 謝萬しゃまん 15/21

 孫綽そんしゃく 簡文文壇

 孫統そんとう 2/3

 王凝之おうぎょうし 3/3

 王徽之おうきし 桓温幕僚

 以下、0

 徐豐之じょほうし王彬之おうりんし王肅之おうしゅくし袁嶠之えんきょうし


一首のみ書けた人物

 郄曇ちどん 3/4

 庾友ゆゆう 1/1

 曹茂之そうもし 0/1

 王藴おううん 2/4

 以下、0

 王豐之おうほうし華茂かも虞説ぐせつ魏滂ぎぼう謝繹しゃしゃく庾藴ゆうん曹華そうか柏偉はくい王元之おうげんし王渙之おうかんし孫嗣そんし


一首も書けずに酒飲まされた人たち

 王獻之おうけんし 19/28

 以下、0

 謝瑰しゃかい卞迪べんちゅう丘旄きゅうし楊模ようも孔熾こうし

 劉密りゅうみつ虞谷ぐこく勞夷ろうい后綿こうめん華耆かき任凝じんぎょう

 謝藤しゃとう呂系りょけい呂本りょほん曹諲そういん

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