桓玄13 マンハント(違)
とは言え、その規模が半端ない。
戦車が五、六十里にずらっと並び、
いくつもの旗が田畑の上に翻る。
良馬にまたがりターゲットを追う姿は
まるで飛ぶかのよう。
桓玄の両翼につく勢子たちは、
桓玄の指示に従って、
丘や谷をもものともせずに進む。
しかし、その陣形に
乱れが生じ、鹿やウサギを
逃がしてしまったときには、
懲罰として、左右の者たちを
縛り上げなどした。
そんな桓玄に
付き従っていた者の一人、
桓玄にとっては、
はとこに当たる人である。
常に直言にて
桓玄を正してきていた桓道恭、
この日は腰に
赤い綿のロープを巻いていた。
「ん、お前、それ何に使うんだ?」
桓玄が問うと、桓道恭、答える。
「公が猟をするたびに
人士は縛られています。
ともなれば、私も
いつ縛り上げられたところで
おかしくはないでしょう。
その時に、皆のように
荒縄で縛られたら堪えられません。
そこで、この綿の縄で
縛って頂ければと思ったのです」
う、
そんなに縛られるの嫌だったのか。
そりゃ嫌だろ……。
桓玄、それから「ほんの少しだけ」
縛らないようになった。
少しなのね……。
桓南郡好獵,每田狩,車騎甚盛。五六十里中,旌旗蔽隰。騁良馬,馳擊若飛,雙甄所指,不避陵壑。或行陳不整,(上鹿下君)兔騰逸,參佐無不被繫束。桓道恭,玄之族也,時為賊曹參軍,頗敢直言。常自帶絳綿繩箸腰中,玄問「此何為?」答曰:「公獵,好縛人士,會當被縛,手不能堪芒也。」玄自此小差。
桓南郡は獵を好み、田狩の每、車騎は甚だ盛んなり。五六十里の中を、旌旗蔽が隰う。良馬を騁せ、馳擊は飛びたるが若く、雙甄の指す所、陵壑を避けず。或いは行陳整わず、(上鹿下君)兔の騰逸さば、參佐に繫束の被らざる無し。桓道恭は玄の族なりたるが、時に賊曹參軍と為り、頗る敢えて直言す。常に自ら絳綿繩を帶び、腰中に箸く。玄の「此れ何が為ぞ?」と問うに、答えて曰く:「公は獵せるに、人士を縛したるを好まば、會ずや當に縛さるを被りたるべし。手は堪芒にては堪える能わざるなり」と。玄は此れより小しく差う。
(規箴25)
桓道恭
桓玄の祖父、
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