桓玄12 いとこと殷仲文
例えば、
人々は良く、桓謙と殷仲文とを
引き比べていた。
そんな中、桓玄がふと庭先で、
殷仲文の姿を見かける。
その姿を見て、桓玄は周囲に言っている。
「うちの桓謙が、
どうすりゃアレに及ぶって言うんだ?」
また桓謙の弟、
元々桓玄、桓脩については
かなり軽く見ていた。
そんな桓脩、
立派な桃の木を持ってきていた。
桓玄、桓脩のもとに出向いて
桃をくれよ、と言う。
しかし、いい桃はもらえなかった。
このことを桓玄、
殷仲文に充ててしたためている。
「『国語』にも載っていたよな。
徳が明らかであれば、
蛮族の
しかし、どうだ!
おれの徳が未だ及ばぬせいで、
おれの庭先のものすら
まともに手に入れられん」
舊以桓謙比殷仲文。桓玄時,仲文入,桓於庭中望見之,謂同坐曰:「我家中軍,那得及此也!」
舊きは桓謙を以て殷仲文と比す。桓玄の時、仲文の入りたるに、桓は庭中にて之を望見し、同坐に謂いて曰く:「我が家の中軍、那んぞ此れに及びたるを得んや!」と。
(品藻88)
桓玄素輕桓崖,崖在京下有好桃,玄連就求之,遂不得佳者。玄與殷仲文書,以為嗤笑曰:「德之休明,肅慎貢其楛矢;如其不爾,籬壁閒物,亦不可得也。」
桓玄は素より桓崖を輕んず。崖の京下に在りて好桃を有せるに、玄は連なり就きて之を求め、遂には佳き者を得ざる。玄は殷仲文に書を與え、以て嗤笑を為して曰く:「德の休明なれば、肅慎も其の楛矢を貢じたり。如し其れ爾らずんば、籬壁の閒の物、亦た得べからざりたるなり」と。
(排調65)
桓謙・桓脩
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