顧愷之4 顧愷之コメント集

顧愷之こがいしさんと言えば、

そのオモシロコメントも著名である。

ここでは二点あげよう。



顧愷之、サトウキビを食べる時に

多くの人は穂先から

行くのにもかかわらず、

後ろから食べていた。


人々からそれをからかわれると、

「甘みの薄いところからいって、

 やがて佳境に至る。

 それがいいんじゃないか」

と答えている。



建康けんこうで爆発的に流行った、

謝安しゃあんさまの詩吟スタイル、

洛生詠らくせいえい


元々鼻づまり気味だった謝安さまは

素でそのスタイルになっていたが、

他の人がそれをまねるためには、

鼻をつまむなどしなければならない。


そして顧愷之、これが大っ嫌いだった。


なので「洛生詠やんねーの?」と

誰かから聞かれると、こう返す。


「は? なんであんな

 ばばあみたいな歌い方

 しなきゃいけねーの?」




顧長康噉甘蔗,先食尾。問所以,云:「漸至佳境。」

顧長康の甘蔗を噉らいたるに、先に尾を食う。所以を問わば、云えらく:「漸く佳境に至らん」と。

(排調59)


人問顧長康:「何以不作洛生詠?」答曰:「何至作老婢聲!」

人の顧長康に問うらく:「何をか以て洛生詠を作さざるか?」と。答えて曰く:「何ぞ老婢が聲を作したるに至らんか!」と。

(輕詆26)




二個目の方は、裸の王さまみたいな話である。と言うか外見の美しさを評価し合う皆さん、考えてみてくださいよ、「鼻をつまんで歌う」なんてスタイル、滑稽以外の何ものでもないでしょうよ……謝安さまがいまをトキメく方であったから真似をしたい、そこまではわかるんですが、真似することで自分の姿がどうなるかを考えましょうよ……。

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