王恭10 王恭と司馬道子 

謝安しゃあんさま亡き後

朝政を壟断した、司馬道子しばどうし

孝武帝こうぶていの弟である。


かれは王恭おうきょうに対し、一方ならぬ

愛着があったようである。


王恭、そして王忱おうしんのことを評して


「王恭は剛毅にして直言の士、

 王忱はふわりとおおらかな人物」


などと言っている。



のちに王恭、司馬道子に対して

反乱を起こそうとするも敗死。

建康けんこう南部にある朱雀桁すざくけたに、

その首がさらしものとされた。


司馬道子、輿こしに乗って朱雀桁に向かう。

そこで、物言わぬ王恭の生首を

じっと眺めた後、こう漏らしている。


「何故だ、どのような冗談で、

 わしを殺そうだなどと思ったのだ」




司馬太傅為二王目曰:「孝伯亭亭直上,阿大羅羅清疏。」

司馬太傅は二王を目せるを為して曰く:「孝伯は亭亭として直上、阿大は羅羅として清疏」と。

(賞譽154)


王孝伯死,縣其首於大桁。司馬太傅命駕出至標所,孰視首,曰:「卿何故趣,欲殺我邪?」

王孝伯の死せるに、其の首は大桁に縣けらる。司馬太傅は駕に命じ出でて標したる所に至らしむれば、首を孰視し、曰く:「卿は何ぞの趣が故にてか、我を殺さんと欲せんや?」と。

(仇隟7)




司馬道子のキャラの扱いが難しいんですね。なに? もしかして道子ちゃんヤンデレなの?

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