王恭9  王恭と王忱3  

王恭おうきょう王忱おうしんはマブだったが、

謝玄しゃげんの元幕僚、袁悦之えんえつしの策謀に嵌められ、

お互い疑心暗鬼の仲となった。


が、宴会などでその姿を

目の当たりとすれば、

どうしてもその姿を追ってしまう。


鬱々とした王恭、五石散ごせきさんを服用した後、

気晴らしに京口けいこうにある

射的場にまでふらつく。


するとそこで、青桐の新芽に、

朝露がきらめいているのを見かける。


王恭、思わず呟くのだった。


「王忱のやつのような、

 実に麗しく、清らかな姿じゃないか」




王恭始與王建武甚有情,後遇袁悅之間,遂致疑隙。然每至興會,故有相思。時恭嘗行散至京口謝堂,于時清露晨流,新桐初引,恭目之曰:「王大故自濯濯。」


王恭は始め王建武と甚だ情を有せるも、後に袁悅之が間に遇い、遂に疑を致し隙す。然れど興會に至れる每、故より相い思いたる有り。時に恭の嘗て行散し京口が謝堂に至り、時にして清露の晨に流るるに、新桐を初に引かば、恭は之を目して曰く:「王大は故より自ら濯濯たり」と。


(賞譽153)




もしかして:恋

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