郗超6  袁宏さんと嘉賓2

袁宏えんこうさん、中央に召喚。

人事部付となった。


すると王献之おうけんし郗超ちちょうに手紙を書いた。


「袁宏が中央に入って、

 すっかりあの自由闊達さが

 失われてしまったな。


 人に鞭打つ、だとか言った仕事じゃ、

 立派な人物になんぞなれやしないだろう。


 早々に左遷されてほしいものだ。

 そうすれば、少しは

 以前のようにもなるのだろうが」




袁彥伯為吏部郎,子敬與郗嘉賓書曰:「彥伯已入,殊足頓興往之氣。故知捶撻自難為人,冀小卻,當復差耳。」


袁彥伯の吏部郎と為るに、子敬は郗嘉賓に書を與えて曰く:「彥伯の已に入れるに、殊に興往の氣を頓するに足る。故より捶撻は自ら為人に難きと知る、冀くは小や卻き、當に復た差したるのみ」と。


(品藻79)




袁宏、王献之、郗超の三人がひとつのグループみたいな印象。


ちなみに人事部だから、この時の袁宏さん、謝安しゃあんさまの部下。太平御覧によれば「えっちょっと待ってください、私、人事のことよくわかんないです。そんなお役目についたら、トラブルの気配しかないんですけど?」

的な書簡を送っているという。


「聞見擬爲吏部郎,不知審爾。果當至此,誠相遇之過。」

吏部郎に擬さるを爲さると聞く、知るも審らかならざるのみ。果たして當に此れに至りたらば、誠に相い遇さるの過たらん。


ちなみに箋疏によると、以前の「興往な」袁宏さんと比較してるから品藻だ、ってことらしい。まぁ確かにほっといても余計なことしゃべっちゃいかねない彼に「黙る」のは難しそうである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る