郗超4  袁宏さんと嘉賓1

袁宏えんこうさんが西府にいた頃、

中央から殷允いんいんと言う人が出向してきた。

この人について、郗超ちちょう

袁宏さんに手紙で釘を刺している。


「殷允どのはお前とよしみを通じたい、

 とは思っている。

 間違えても啓蒙しようとはするなよ?」


人々は袁宏さんを「啓蒙者」と呼んでいた。

つまり押し付けがm……

いえなんでもありません。


そんなだから王献之おうけんしにすら、その詩で

「袁氏はとにかく啓蒙しすぎ」

と書かれるくらいだったのだ。




殷允出西,郗超與袁虎書云:「子思求良朋,託好足下,勿以開美求之。」世目袁為「開美」,故子敬詩曰:「袁生開美度。」


殷允の西に出づるに、郗超は袁虎に書を與えて云えらく:「子思は良き朋を求め、足下に好みを託たんとす。以て之に開美を求む勿れ」と。世は袁を目すらく「開美」と為す。故に子敬は詩に曰く:「袁生は開美の度」と。


(賞譽145)




殷允

殷浩いんこうさんのいとこ。この人の家系は劉宋りゅうそうで大いに栄えているのだが、本人の事跡は乏しい。殷浩さんとか殷仲堪いんちゅうかん殷仲文いんちゅうぶんみたいに目立つとどうしても刈られやすくなりますからね。上手い処世の人だったのか、パッとしなかっただけなのか。

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