殷浩4  殷浩コメント集 

劉惔りゅうたんとのやり取りに見える通り、

言うことは言うタイプだった、殷浩いんこうさん。


なので、人物に対する

コメントも結構残ってる。



例えば、韓伯かんはくについては。


「ほんとアイツ、

 まだ俺が発する空気読めないんだよね」


「……けどまぁ、凡俗どもよりは、

 もうそのたたずまいだけでも、

 若いころから突き抜けちゃいたかな。

 発言にしろ、文章にしろ、

 風雅さは備えてたしね」



また、王羲之おうぎしについては。


「王羲之? あぁ、サイコーだね!

 逸少いっしょうファン度って意味じゃ、

 天下一品な自信あるよ俺!」


「ほんとにもうあの見る目の高さ、

 あの高貴な振る舞いと来たら!」


べた惚れですやん。



それから、謝万しゃまんについては、

人に宛てた手紙の中で。


「ずいぶんやつの文章も

 いいもんになってきたね。


 あそこまでになるのは、

 そうそう容易い事じゃないよ」




殷中軍云:「康伯未得我牙後慧。」

殷中軍は云えらく:「康伯は未だ我が牙後の慧を得ず」と。

(文學27)


殷中軍道韓太常曰:「康伯少自標置,居然是出群器。及其發言遣辭,往往有情致。」

殷中軍は韓太常を道いて曰く:「康伯は少きより自ら標し置きたり、居然として是れ群器に出づ。其の言を發し辭を遣るに及び、往往として情致を有す」と。

(賞譽90)


殷中軍道王右軍云:「逸少清貴人。吾於之甚至,一時無所後。」

殷中軍は王右軍を道いて云えらく:「逸少は清貴なる人なり。吾れ之に於いて甚だ至らば、一なる時にても後るる所無し」と。

(賞譽80)


殷中軍道右軍:「清鑒貴要。」

殷中軍は右軍を道えらく:「清鑒にして貴要なり」と。

(賞譽100)


殷中軍與人書,道謝萬「文理轉遒,成殊不易」。

殷中軍は人に書を與え、謝萬を「文理は轉遒たり。成りたるは殊に易からず」と道いたり。

(賞譽93)




何だこの凄まじいウエメセ感……。

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