殷浩3 劉惔の成長
やがて劉惔、うまく殷浩さんの論に
応対ができなくなってしまった。
殷浩さん、おやおやと言う。
「おいおい、我が城を攻め落とすのに、
そうも貧弱な雲梯で挑もうとしたのか?
もう少しまともな雲梯で
挑んできてほしいものだが」
そう、若き日の劉惔、
清談で殷浩さんに叶わなかったのだ。
が、時が下ると、
その立場も逆転したようだ。
殷浩さんと劉惔の清談、
後々のラウンド。
清談が始まると、間もなく殷浩さんが
論旨に詰まった。
が、言葉は止まらない。
まるで論旨こそかすめないが、
とりあえずたらたらと喋ってはいる。
とはいえ、もはや議論じゃない。
なので劉惔、相手にもしない。
殷浩さんがとぼとぼ引き上げたあと、
劉惔、コメントする。
「あの田舎もん、俺の手パクりやがった。
関係ねえとこに食いつかせて
陥れようったって、
誰がその手に乗るかよ」
劉真長與殷淵源談,劉理如小屈,殷曰:「惡,卿不欲作將善雲梯仰攻。」
劉真長の殷淵源と談ぜるに、劉が理の小や屈せるに如かば、殷は曰く:「惡し、卿は將に雲梯を善くし仰ぎて攻めんと作したるを欲さざるか」と。
(文學26)
殷中軍嘗至劉尹所清言。良久,殷理小屈,遊辭不已,劉亦不復答。殷去後,乃云:「田舍兒,強學人作爾馨語。」
殷中軍は嘗て劉尹が所に至りて清言す。良や久しうし、殷が理の小や屈せど、遊辭は已まずして、劉は亦た復た答えず。殷の去れる後、乃ち云えらく:「田舍兒、強かに人に學びて爾れる馨語を作さんか」と。
(文學33)
強大なライバルとの立場がいつしか逆転して、自分が使っていたピンチをしのぐ手口に、気付けば「強大だと思っていた」ライバルがすがりついてたわけだ。これは少年漫画的にも自分の成長に対する喜びと好敵手の喪失という寂寥感を味わう場面……だが、まぁ劉惔のことだから「殷浩ざまぁwww」としか思ってなさそうだなー。
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