周顗12 宴席の王羲之  

王羲之おうぎしが若かった頃、

周顗しゅうぎさんの宴席にお呼ばれした。

とはいえ、席次は末席。


にもかかわらず、

牛の心臓をかっさばいて食ったため、

人々から見直されたそーな。


……?




王右軍少時,在周侯末坐,割牛心噉之。於此改觀。


王右軍の少き時、周侯が坐の末に在りて、牛の心を割りて之を噉らう。此に於いて觀を改むる。


(汰侈12)



すごい。この注がないとさっぱりわからないっぷり。


キーワードは篇名の「汰侈たしゃ」。いきすぎた贅沢の話である。となると、牛の心臓がド級の高級品なんだね、とわかる――のだが、さらにここに別口の話も持ち込む必要がある。


われらが羅友らゆうさんにご登壇いただきます。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054886483772

これね。


このエピソードから、当時の宴席、席次次第で振る舞われるものが違う、と推測できるのだ。となると、わざわざエピソード中に存在が見える牛の心臓、これきっと、主賓クラス向けのもの。


王羲之、末席にいたにもかかわらず、そいつをペロリといっちゃった。しかも、いかにも「自分以外の」人間の礼儀にはうるさそーな、あの周顗さんが催した席で。となると、王羲之にとっちゃ、牛の心臓なぞ、特筆すべき贅沢品ではなかった、となりますね。


やべえぜ東晋とうしん琅邪ろうや王氏。

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