陸機6 華亭の鶴
八王の乱の一局面、
防衛戦を展開する司馬乂は、
幾度も司馬穎の軍を打ち破っている。
この経過は、
司馬穎につくまで続く。
そんなさなかのことである。
洛陽城
司馬穎軍に属していた
ここで司馬乂軍と激突、大敗。
洛陽東の
その被害は甚大なものであった。
かねてより陸機、幾人かの例外を除けば
中原の多くの人士を軽んずる風であり、
司馬穎陣営内にも多く敵を作っていた。
そんなところに、この大敗である。
多くの人間より讒言を被り、
処刑されることになってしまった。
陸機、淡々と裁きを受け容れる。
司馬穎の配下であることから
逃れられなかった時点で、
こうなることは決まっていたようなものだ。
だが刑場にまで赴けば、
あふれ出る故郷、
どうしても、詠嘆と共に
口をついてしまうのだ。
「これで、華亭の鶴の鳴き声を、
再び聞けるようになるのかな」
陸平原河橋敗,為盧志所讒,被誅。臨刑歎曰:「欲聞華亭鶴唳,可復得乎!」
陸平原は河橋にて敗れ、盧志に讒さる所と為り、誅さるを被る。刑に臨み歎じて曰く:「華亭の鶴の唳を聞きたるを欲す、復た得べきかな!」
(尤悔3)
おいそう言う読者の知識に丸投げやめなさい(迫真)まぁお約束のツッコミと言う奴である。
なお、晋書だと陸機の言葉は「華亭鶴唳,豈可復聞乎!」となっており、明らかにニュアンスが違う。晋書バージョンだと「もう華亭の鶴の鳴き声を聞けないのか!」となるのだが、世説新語バージョンは魂が華亭に戻れる、と言ったニュアンスを見る事ができる。
どちらでもいいのです。あなたの陸機にたずねてください。わたしの陸機は世説新語バージョンです。
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