陸機1  千里のジュンサイ

陸機りくき 全6編

 既出:陸遜、張華3、張華4



陸機が名門・太原たいげん王氏のひと、

かの王渾おうこんの息子である王済おうさいの元に訪れた。


二人して向かい合うと、

王済が、陸機の前にヨーグルトを提示する。

どうだ、珍しいだろう、とばかりに。


「そなたの故郷であるには、

 このような物はあるかな?」


どうだ、ないだろう、

ここは天下の洛陽らくよう

わかったかイナカモン

的なムーヴである。


やれやれ、またこのパターンか。

表にはおくびにも出さず、

陸機、返答する。


千里せんり湖にあるジュンサイのスープは、

 実に風合い豊かなものですよ。

 もっとも、味付けなどは

 これからなのですがね」




陸機詣王武子,武子前置數斛羊酪,指以示陸曰:「卿江東何以敵此?」陸云:「有千里蓴羹,但未下鹽豉耳!」


陸機の王武子を詣でるに、武子は前に數斛の羊酪を置き、指にて以て陸に示して曰く:「卿が江東にては、何をか以て此れに敵わんか?」と。陸は云えらく:「千里が蓴の羹有り、但だ未だ鹽豉を下さざるのみ!」と。


(言語26)




王済が自分をヨーグルトにたとえて、対する陸機は自分を「味付けをすれば」美味しいスープになる、という。「お前はまだ知らないだけで、呉は人材の宝庫だぞオラ」というようにも解釈がかなう。「味付けはこれから」って言い方が憎い。お前らが知らないだけだぞ、ってね。

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