司馬穎 成都王の舅
あの楽広のお話である。
八王の乱真っ盛りの頃の人であり、
一時期は乱の勝者となりかけた
成都王・司馬穎に娘を嫁がせていた。
ところで八王の乱、
コロコロ主役が変わる。
順番で言うと
と言う感じである。
残り三人? まぁなんと言うか……。
そんなわけで、
後々司馬穎が倒すことになる、
かれの兄にして
ちなみに、共に
当時、司馬乂は
政権を握っていたわけだが、
この頃司馬穎は、かの
勢力を伸長させていた。
こんなん、警戒しないはずがない。
そして、いよいよ戦おう、という局面に
事態が推移する。
この時楽広、洛陽にいた。
つまり、思いっきり司馬乂の勢力圏内。
元々人望も集めていて、
しかも司馬穎の縁者。
司馬乂の取り巻きなら、
大者小者に関わらず疑うに決まってる。
「アイツ斬っといた方がよくないですか」
司馬乂にそう告げ口するものが
引きも切らなかった。
なので司馬乂も、楽広に聞く。
お前司馬穎シンパなんだろ? と。
だが楽広、平然としたものである。
「どうして五人の息子を
一人の娘に引き換えられましょう?」
司馬穎につけば、洛陽にいる
五人の息子たちが犠牲になる。
どうして一人の娘と比べられよう、
というわけだ。
この様子に司馬乂も疑いを解き、
以後疑われることはなかった。
樂令女適大將軍成都王穎。王兄長沙王執權於洛,遂構兵相圖。長沙王親近小人,遠外君子,凡在朝者,人懷危懼。樂令既允朝望,加有婚親,群小讒於長沙。長沙嘗問樂令,樂令神色自若,徐答曰:「豈以五男易一女?」由是釋然,無復疑慮。
樂令が女は大將軍、成都王の穎に適す。王の兄たる長沙王の洛にて權を執れるに、遂に兵を構え相い圖らんとす。長沙王に親近なる小人、遠外なる君子、凡そ朝に在れる者、人は危懼を懷く。樂令は既に朝望を允め、加えて婚せる親有らば、小さきは群れて長沙を讒す。長沙の嘗て樂令に問うに、樂令が神色は自若にして、徐ろに答えて曰く:「豈に五なる男を以て、一なる女に易えんか?」と。是の由にて釋然たれば、復た疑い慮らる無し。
(言語25)
楽広
物静かで「よく人の話を聞く」人だったとのことである。ワァーオ、現代の自己啓発本でお手本になりそうな人だね! ところで晋書における彼の伝で、司馬乂は楽広の弁明を聞いた後もずっと疑い続けてたってことになってる。そのため憂悶の中死んだそうである。世説新語とは真逆。さて、ここにはどんな意図が込められているのか。まだ楽広全然出てきてないんですよねー。
司馬穎(「崔浩先生」より)
司馬衷の弟。ごく乱暴な因果関係から言えば「五胡十六国時代を招いた者」となる。八王の乱に殴り込みをかける際、かれが劉淵の機動力を大いに恃みとしたからである。結果八王の乱レースの勝者候補となった。が、司馬越の弟
ジャンケンにおいてもグーとグーが戦えば、より強いグーが勝つのが摂理。ここで司馬穎は自らが飼う
司馬乂
司馬倫以降の八王の乱のぐちゃぐちゃの中において、残っている記録から推測すればマシな方の人品をしている人。とは言え全然周囲を統御できている感じもないので、まぁそれなりだったんでしょう。八王の乱、とにかくぐちゃぐちゃで「司馬」がゲシュタルト崩壊するから楽しいですよ! ウソだよ楽しくねえよ何クソみてえなことやってやがったんだお前ら!
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