庾亮16 マンスカウト  

庾亮ゆりょうさま、護軍将軍になり、

人手が足りなくなりつつあったので、

桓温かんおんパパである桓彝かんい

誰かいい人がいたら教えてほしい、

と依頼した。


それから数年後、

桓彝さん、一人旅の途上で

偶然出会った徐寧じょねいと言う人に惚れる。


これはまさに庾亮さまの求める人材だ、

そう思い、徐寧を庾亮さまに紹介した。


「人々が持っているものを、

 彼が持っているとは限りません。


 しかし、誰も持っていないものを

 彼が持っていないとも限りません。


 ただ言えるのは、彼が海岱かいたいの地、

 つまり山東半島エリア一の

 名士である、という事です」

 



庾公為護軍,屬桓廷尉覓一佳吏,乃經年。桓後遇見徐寧而知之,遂致於庾公曰:「人所應有,其不必有;人所應無,已不必無。真海岱清士。」


庾公の護軍為るに、桓廷尉に一なる佳吏を覓めんと屬し、乃ち年を經る。桓は後に遇たま徐寧に見え之を知り、遂に庾公に致して曰く:「人の應に有るべき所は、其れに必ずしも有らじ;人の應に無かるべき所は、已に必ずしも無かりき。真に海岱の清士たり」と。


(賞譽65)




徐寧

いま人名索引引いたら存在してなくて笑った。マジか。庾亮さまに引き立てられたのがきっかけで累進し、江州刺史にまで上り詰めている。家門的なこと考えれば大出世だったんじゃなかろうか。


ところでこの人、徐羨之じょせんしと繋がりあるのかなあ……と思って調べたらドンピシャ、祖父でした。ここに繋がるかー。この人が刺史にまで上り詰めたってのに息子の徐祚之じょそしは県令どまりだから、家門としてはどうしても漸退と言う感じだったろう。そしたら徐羨之が偶然桓脩かんしゅうの下で劉裕りゅうゆうの同僚になったもんだから一発逆転。うーん思いがけない奇縁。一方の劉裕も県令の曽祖父>太守の祖父>夭折のため郡功曹止まりだった父、という家系なので、割と徐羨之とは家門が同じくらいなんですよねー。劉裕、貧乏は貧乏でも、それなりの家門には生まれてるんです。

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