謝安42 デコり鐙    

謝万しゃまんが北伐したが、

寿春じゅしゅんで盛大に前燕ぜんえんに負けた!


ほうほうの態で逃げ帰る謝万、

わざわざ煌びやかな鐙を選ぼうとする。


この時従軍していた謝安しゃあんさま、

これまでは特に何も

口出ししていなかったのだが、


さすがにこの振る舞いを見て、口を出す。


「お前、この期に及んでまだ

 撤退の邪魔になるようなものを

 用いようというのかね?」




謝中郎在壽春敗,臨奔走,猶求玉帖鐙。太傅在軍,前後初無損益之言。爾日猶云:「當今豈須煩此?」


謝中郎の壽春に在りて敗るるに、奔走せるに臨み、猶お玉帖の鐙を求む。太傅は軍に在り、前後に初にも損益の言無し。爾の日に猶お云えらく:「當に今、豈に此れを煩わさるるを須いんとせんや?」と。


(規箴21)




会稽かいけいに引き籠ってるはずの謝安がこんなとこにおるわけないやん」と、劉孝標りゅうこうひょうは冷静に突っ込んでいる。いや、もしかしたら出てきてたのかもしれませんよ? 弟が心配で、弟が(やらかすのが)心配で。(大事なことなので)


ここは敢えて劉建りゅうけん劉牢之りゅうろうしの父、従軍してた)に言わせたという事に強引にしてしまうのはどうだろうか。(誰一人得をしない)

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