謝安23 賊を大破す
西暦383年、冬。
という
その後ろには、更に70万が控えるという。
迎え撃つ、
彼らが負ければ、東晋は滅ぶ。
東晋人に取り、息がつまる毎日であった。
さて、客と囲碁を打っていた
謝玄からの手紙が届く。
謝安、手紙を読み終えても、
その表情に特に変わったところはない。
おもむろに囲碁を再開する。
だが、謝玄からの手紙、ともなれば
戦いの結果が記されてあるはずだ。
「わ、淮水での戦いは
どうなったのでしょうか……?」
客が問うと、謝安は答えた。
「小童ども、賊をさんざんに
打ち負かしたようですよ」
そう答える表情、振る舞いは、
いつもと変わらぬものであった。
謝公與人圍棋,俄而謝玄淮上信至。看書竟,默然無言,徐向局。客問淮上利害?答曰:「小兒輩大破賊。」意色舉止,不異於常。
謝公は人と圍棋す。俄にして謝玄の淮上の信至る。書を看竟え、默然として言無く、徐ろに局に向かう。客は問うらく「淮上利したるや害したるや?」と。答えて曰く:「小兒らの輩、賊を大破す」と。意色や舉止、常と異ならず。
(雅量35)
晋書では客が帰った後に「歓喜に喜び回り、履いている下駄の桁が折れたのにも気付かないほどであった」と付け加えている。それを敢えて世説新語から省いている辺りに、世説新語が謝安をどのような人物として描きたいかが伺える。「超然とした大宰相」であってほしいみたいなんですね。とは言えこの当時の人、大体下駄が折れたのまでワンセットで知ってたろうにねぇ。
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