謝安22 ゲージツカの器 

画家の戴逵たいきが東方から出てきた、という。

ほほう、ちょっくら会ってみましょかね。

謝安しゃあんさま、戴逵に会いに行く。


元々謝安さま、戴逵のことを軽んじていた。

だから会っても経世済民のことなどでなく、

音楽のこと、文学などのことばかり。


が、戴逵、そんな謝安さまに対し、

いやな顔ひとつせず付き合う。

しかもその論旨ははなはだ精妙。


おおう、こりゃ凄い人もいたもんだ。

謝安さま、戴逵の器に感心するのだった。




戴公從東出,謝太傅往看之。謝本輕戴,見但與論琴書。戴既無吝色,而談琴書愈妙。謝悠然知其量。


戴公は東より出で、謝太傅は往きて之を看る。謝は本より戴を輕んずれば、見ゆるに但だ琴書を論ず。戴は既にして吝色無く、琴書を談ずるに愈いよ妙たり。謝は悠然として其の量を知る。


(雅量34)




戴逵

文学、彫刻の方面でもすさまじい腕前を誇った、当代のレオナルド・ダ・ヴィンチ。権力を嫌い、孝武帝こうぶていから逃げて王珣おうしゅん謝玄しゃげんに庇護されていたりする。あと王濛おうもうに画才を褒め称えられていたり。まぁ、何と言うか、すごい人である。作品はぜんぜん残ってないが。


つーか謝安さまがどこまでもウエメセで笑う。

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