謝安21 郗超との接見  

桓温かんおんさまが政敵を

次々と処断していた頃の話である。


桓温さまの謀議に深く関与、

誰を殺すかについて

大きな発言力を得ていた、郗超ちちょう


桓温さまの意向を知るためにも、

郗超とはよく語っておかねばならない。

そこで謝安しゃあん王坦之おうたんし

郗超に会いに行った。


だが夕暮れ近くになっても、

郗超との会見が叶わない。

ただただ、待ちぼうけを食らう。


そろそろ諦めるべきではないか、

王坦之が言うと、謝安はこう返す。


「我らが天命を全うするためだぞ。

 そのためにも踏ん張れんのか?」




謝太傅與王文度共詣郗超,日旰未得前,王便欲去。謝曰:「不能為性命忍俄頃?」


謝太傅と王文度は共に郗超を詣で、日の旰るるに未だ前せるを得ざれば、王は便ち去らんと欲す。謝は曰く:「性命が為に俄頃を忍ぶ能わざらんか?」と。


(雅量30)




桓温さまの暴虐を前にしてパニクる王坦之とあくまで平静な謝安との対照、と言うネタがここにも来ている感じですね。と言うかあれと同時に紹介できた方がわかりやすいエピソードだったよなぁ。世説新語にはこう言う、いくつかの条を組み合わせることによって面白みが増すものが結構あって大変。だからこそ面白い、と言うのはありますが、と言って現代人に暗誦はちょっと違いますしね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る