謝安17 シカトにもめげず

羊綏ようすいすげえ!

そんな話が、謝安しゃあんさまの耳に届く。


そんなにすごいんなら、会ってみたい。

なので謝安さま、招待状を書いた。

うちに来て話そうよ、というのだ。

が羊綏、応じない。


そして後日、羊綏は

建康けんこうにある学校の教授に採用された。

そこでの業務で

謝安さまに用事があったので、出向いた。


ら、謝安さま、

いきなり羊綏を取り立て、

書記官とした。



ところで羊綏、王献之おうけんしと仲良しであった。

潔癖にして高潔な人柄を買われ

中書郎ちゅうしょろうに取り立てられた羊綏だったが、

しかし間もなく夭折。


王献之、かれの死を深く悼んだ。

そして王珣おうしゅんのもとで語っている。


「これこそ、国家の損失と言うべきだ!」




謝公聞羊綏佳,致意令來,終不肯詣。後綏為太學博士,因事見謝公,公即取以為主簿。

謝公は羊綏の佳なるを聞き、意を致し來たらしむ。終に詣でるを肯んぜず。後に綏は太學博士と為り、事に因りて謝公に見ゆれば、公は即ち取りて以て主簿と為す。

(方正60)


王子敬與羊綏善。綏清淳簡貴,為中書郎,少亡。王深相痛悼,語東亭云:「是國家可惜人!」

王子敬と羊綏は善し。綏は清淳簡貴にして中書郎と為るも、少くして亡ぶ。王は深く相い痛悼し、東亭に語りて云えらく:「是れ國家の惜しむべき人なり!」と。

(傷逝14)




羊綏

基本的属性は偏屈才人。当時のトップもトップである謝安さまよりの招聘にもおもねらないその気骨、と言う感じでしょうかねえ。いや自分から会いに行けよ。


つーか謝安さまに対してつれなくした人について「謝安と仲の悪かった」王珣に対して語るとか、王献之もなかなかおいしい動きをしておる。

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