桓温17 捕り物の傍らで
兄弟揃って
折りも折り、
そのあれこれで桓温さまのところも
バタバタしていた。
何せ、庾希処断の号令をかけているのは
他ならぬ桓温さまである。
「自らに逆らうものには容赦しない」。
その意思をお示しになっていたのだ。
さて、王劭と王薈も名族である。
桓温さまの権勢にとって
邪魔者扱いとなれば、
やはり粛清される恐れもないではない。
そんな桓温さまの懐に
飛び込んでしまっていることに、
王薈は目に見えて怯えていた。
そわそわし、帰りたそうにしている。
一方の王劭は、泰然自若。
どっしりと座り、動揺を表に出さない。
やがて捕り物が終わり、
自分たちに累が及ばないことが確定し、
王劭は初めて立ち上がり、去った。
そりゃーみなさん王劭を
褒めやそしますよね、ってもんである。
王劭、王薈、共詣宣武、正值收庾希家。薈不自安、逡巡欲去。劭堅坐不動、待收信還得不定、迺出。論者以劭為優
王劭と王薈は共に宣武を詣づ。正に庾希が家を收むに值う。薈は自ら安んぜず、逡巡し去らんと欲す。劭は堅坐し動かず、收信の還るを待ち、定まらざるを得て、迺ち出づ。論者は以て劭を優ると為す。
(雅量26)
王薈は息子の王廞がのちに反乱を起こしています。そう言うところからその父親もやや下げられざるを得ない立場の人。対する王劭は……この人世説新語中には桓温から「王導さまの息子さんはやっぱすげえなあ」くらいしか言われてないんですよね。正直この二人の評価の差は子世代にマイナスがあるか、ないかの違いでしかない気もするのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます