桓温11 倚馬七紙    

袁宏えんこう桓温かんおんさまの北征に従事した時、

色々あって役職を解任させられてしまった。


そんな中、道すがらの人々に示す

檄文が急に必要となった。


この手のものを書ける

スキルの持ち主と言えば、

袁宏を置いて他にない。


桓温さま、袁宏を呼び、ご自身の目の前で

これこれこう言った内容の檄文を書け、

とお命じになる。


そして袁宏、筆を執ると、

一切の遅滞無しで、

紙七枚分にも及ぶ檄文を書き上げる!


これを見て王珣おうしゅん

はえーこいつの文才やばないっすか、

と思わず声を上げてしまった。


すると袁宏は言う。


「そう言うのはいいです。いいから、

 とっとと私を復職させてくださいよ」




桓宣武北征。袁虎時從、被責免官。會須露布文、喚袁倚馬前會作。手不輟筆、俄得七紙、絕可觀。東亭在側、極嘆其才。袁虎云:「當令齒舌間得利。」


桓宣武は北征す。袁虎は時に從ぜるも、責めを被り、免官さる。露布の文の須めらるに會し、袁は喚ばれ馬前に倚りて會し作す。手は筆を輟めずして、俄かに七紙を得る。絕だ觀る可し。東亭は側に在りて、極めて其の才に嘆ず。袁虎は云えらく「當に齒舌の間に利を得しむるべし」と。


(文學96)




いや、多分きみが免職されたの、そう言う事あっさり言っちゃうところじゃないかな……

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