桓温10 紛失書類再提出 

王珣おうしゅん桓温かんおんさまの部下として、

桓温さまの書斎近くに控えていた。

その懐には、様々な議題を記した

建白書を抱えていた。


すると桓温さま、人に命じて、

こっそりとこの建白書を抜き取らせる。


いや何やっとんねん。


だが、この事態に気付いた王珣、

特に動揺することもなく、

建白書を改めてしたためる。


すると、前後の建白書の議題は

全く同じであるにもかかわらず、

そこに記されていた文字には、

一切の重複がなかった。




王東亭到桓公吏、既伏閣下。桓公令人竊取其白事。東亭即於閣下更作、無復向一字。


王東亭は桓公の吏として到る。既にして閣下に伏す。桓公は人をして竊かに其の白事を取らしむ。東亭は即ち閣下にて更めて作る。復た向きの一字無し。


(文學95)




「ははぁん大司馬、俺を試してんな……?」


的な王珣さんの向こうっ気を感じますね。

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