王導38 スケープゴート 

王導おうどうさま、

占いの達人、郭璞かくはくに占ってもらった。

そしたら郭璞の形相がヤバい。


「丞相に、雷が落ちますよ」


「ファッ!?

 ちょ、何それ避けられんの!?」


ビビりまくりの王導さまに、郭僕は言う。


「配下に命じて、西にお向かわせなさい。

 数里行った所に、柏の木があります。

 これを丞相ほどの背丈に切るのです。


 そしてこれを、普段丞相が

 お休みでいらっしゃるところに

 置いておくのです。

 さすれば、禍は避けられましょう」


郭璞の占いの的中率はヤバい。

なので王導さま、慌ててそれに従った。


数日後、雷が鳴ると、

みごとその柏の木に直撃!


粉々になった木を見て、配下や家族は

王導さまの身が守られたことに大喜び。


だが、そこに居合わせた王敦おうとんは言うのだ。


「おーおー、お前の罪を

 柏の木になすりつけたわけだ」




王丞相令郭璞試作一卦。卦成、郭意色甚惡、云:「公有震厄。」王問:「有可消伏理不?」郭曰:「命駕西出、數里得一柏樹。截斷如公長、置床上常寢處。災可消矣。」王從其語、數日中、果震柏粉碎。子弟皆稱慶。大將軍云君:「乃復委罪於樹木。」


王丞相は郭璞をして試みに一卦を作さしむ。卦の成るや、郭の意色は甚だ惡し。云えらく「公に震厄有り」と。王は問うらく「消伏の理有りや不や?」と。郭は曰く「駕に命じ、數里の西に出で、一なる柏の樹を得、截斷し公が長の如くし、床上の常に寢る處に置かば、災いは消ぜん」と。王は其の語に從う。數日中にして、果たして震は柏を粉碎す。子弟は皆な慶を稱す。大將軍は云く「君は乃ち復た罪を樹木に委ぬるか」と。


(術解8)




大将軍がおいしいところかっぱらっていきよった。

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