王導37 ウザいZE☆丞相

王導おうどうさま、建康で時々漏らしてた。


洛陽らくよう裴頠はいぎ阮瞻げんせん

 清談していた、あの頃。

 実に良き時であったよ」


あんまりにもしつこいので、

思わず羊曼ようまん、ツッコんだ。


「またその話ですか。

 あなた様はこの江南の地で

 広く受け入れられております。

 何故そうも殊更に、

 裴頠殿や阮瞻殿との時間を

 取り返したいと仰るのですか」


王導さま、答えるよ。


「違うのだよ、

 取り返したい、のではない。


 あの時は、いくら望んでも

 最早戻っては来ないのだからな」




王丞相過江、自說:「昔在洛水邊、數與裴成公、阮千里諸賢共談道。」羊曼曰:「人久以此許卿。何須復爾?」王曰:「亦不言、我須此。但欲爾時不可得耳。」


王丞相の江を過ぐるに、自ら說くらく「昔洛水の邊に在るに、數しば裴成公や阮千里ら諸賢と共に道を談ず」と。羊曼は曰く「人は久しく此こを以て卿を許す。何ぞ復た爾れるを須わんか?」と。王は曰く「亦た言わず、我が此れを須うと。但だ爾の時を欲せど得べからざるのみ」と。


(企羡2)




羊曼

羊祜ようこの兄の孫。蘇峻そしゅんの乱で殺されたが、それまでは政府高官として働いた。しっかしまぁ、今を一生懸命生きてる人の前で言う事かね王導さま……。

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