王導10 耄碌宰相    

王導おうどうさま、その官途の末期には

まともに職務を執っていなかった。

封のされた文書も、中も見ずに裁可する。


ある日、王導さまは嘆じて言う。


「わしのことを皆が耄碌した、と言う。

 なあに、のちにこの耄碌を

 懐かしく思うであろうよ」




丞相末年、略不復省事。正封籙諾之。自嘆曰:「人言我憒憒、後人當思此憒憒!」


丞相の末年、略ぼ復た事を省ず。正に封籙し之を諾す。自ら嘆じて曰く「人は我が憒憒たるを言うも、後の人は當に此の憒憒たるを思うべし」と。


(政事15)




末期だと蘇峻の乱のあと、地方長官として中央から引っ込んでいた頃ですね。引き際の上手いジジイだわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る