王導11 清談ロジック  

後世の人間から言われている。


王導おうどうさまは呉楚ごその地に至って以来、

清談では三つの理論しか用いていない。


一つに声無哀楽せいむあいがく

 各地の風習は様々に異なっており、

 ある地での悲しむしぐさは

 他の地での楽しむしぐさともなる。

 だが、悲しむ気持ち、楽しむ気持ちは

 共通の感情である。

 うわべの表現にとらわれず、

 その意を酌むべきである。


一つは養生論ようじょうろん

 あらゆる生き物は環境によって変化する。

 無論人間もその例外ではない。

 ならば自然に従う事によって、

 人体もまた自然の長久を得、

 長寿を得るに至るのである。


一つは言尽意げんじんい

 この世における様々な現象の

 奥底に潜む真理は、

 すべて言語化が可能である、

 という観点に立脚する論。

 なお当時の主流派は「言不尽意」、

 つまり真理を言語化なぞできませんよ、

 というものであったそうだ。



この三つだけで清談に臨むわけだが、

その組み合わせの妙によって、

あらゆるテーマを乗り切ってしまうのだ。 




舊云:「王丞相過江左、止、道聲無哀、樂養生、言盡意、三理而已。然宛轉、關生無所不入。」


舊て云えらく「王丞相は江左に過れるに、止だ聲無哀樂、養生、言盡意の三理を道うのみ。然れど轉じるに宛て、關ぜるの生ずるに入らざる所無し」と。


(文學21)




おう、そうだな!

(まったくわかってない)

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