孝武8 敬して遠ざく
さて、王雅が孝武さまに
あの
国内屈指の才人である。
これは是非とも会ってみたい。
そしてある夕暮れ時、王国宝と王雅は
孝武さまの開催する宴席にいた。
孝武さま、少々酒気を帯びている。
じゃあこの席に
王珣を呼ぼうか、という事になった。
使いの者が、王珣を連れてくる。
ところで王国宝にとっては、
才人である王珣に来られてしまうと
立場がいろいろ危うい。
何せ、どう考えても
才能は向こうのが上である。
ここで会せたら孝武さまの寵愛を
喪うと恐れた王国宝、一計を案じる。
「王珣は当代一流の名士。
かの者に会うのに、
陛下が酒気をお帯びでは
示しがつきますまい。
別途詔勅により召喚なさるのが
よろしいかと存じまする」
確かにその通りだ、孝武さま、
王国宝の進言を受け容れる。
忠心ゆえの提言と認識した孝武さま、
この時は結局
王珣に会わずに終わるのだった。
孝武甚親敬王國寶、王雅。雅薦王珣於帝,帝欲見之。嘗夜與國寶、雅相對,帝微有酒色,令喚珣。垂至,已聞卒傳聲,國寶自知才出珣下,恐傾奪其寵,因曰:「王珣當今名流,陛下不宜有酒色見之,自可別詔也。」帝然其言,心以為忠,遂不見珣。
孝武は甚だ王國寶と王雅に親敬す。雅は王珣を帝に薦す。帝は之を見んと欲す。嘗て夜に國寶や雅の帝に相對せるに、微かに酒色有り。珣を喚ばしめて至りたるに垂んとす。已にして卒の傳うる聲を聞く。國寶は自らの才の珣の下に出でるを知る。其の寵を傾奪さるを恐れ、因りて曰く「王珣は當に今の名流たるべし。陛下にては、宜しく酒色有して之を見るべからず。自ら別に詔すべきなり」と。帝は然りとし、其の言の心を以て忠と為し、遂には珣を見ず。
(讒險3)
王國寶(「崔浩先生」より)
東晋末期が誇るドクズ。孝武帝や
王雅
東海郡の人で
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