簡文25 屁理屈親子   

孝武帝こうぶてい陛下十二歳、

即ち、即位の翌年のことである。


陛下、真冬なのにも拘らず

昼にはずいぶんな薄着でいた。

なのに夜は布団を重ねて被る。


この様子を謝安しゃあんが心配する。


「ご聖体は、平常を保たれるべきです。

 陛下は、昼は薄着に過ぎ、

 夜は過剰に暖まっていらっしゃる。

 これでは、いつご体調を崩しても

 おかしくはございません」


すると、孝武帝は答える。


「昼は動き回り、夜は止まっているのだ。

 相応の格好が必要ではないか」


これを聞き、謝安は引き下がる。

退出すると、嘆息して言う。


「屁理屈の上手さは

 先帝に負けるとも劣らんな」




晉孝武年十二時、冬天晝日不箸複衣、但箸單練衫五六重。夜則累茵褥、謝公諫曰:「聖體宜令有常。陛下晝過冷夜過熱、恐非攝養之術。」帝曰:「晝動夜靜。」謝公出嘆曰:「上理不減先帝。」


晉の孝武の年十二の時、冬天の晝日に複衣を箸くるに、但だ單練の衫を五六重にて箸くるのみ。夜には則ち茵褥を累ぬ。謝公は諫めて曰く「聖體は宜しく常に有るべし。陛下は晝を冷やして過ごし、夜は熱し過ごす。恐るらくは、攝養の術に非ざるなりを」と。帝は曰く「晝は動き、夜は靜む」と。謝公は出でて嘆じて曰く「上が理は先帝に減ぜず」と。


(夙惠6)




まあ、あえてこう訳しますよね。

それにしても、孝武帝って

どんな風に書かれてるんだろ。


今のところ、機転の利く感じだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る