簡文23 謝万惨敗す   

謝安しゃあんの弟、謝万しゃまん

前燕ぜんえんとの戦いで大敗を喫した。


敗因は、戦況を良く見極めないまま

後退することによって

兵士たちの不安をあおり、

そこを前燕軍に攻め込まれた、

というものだった。


この報を聞き、簡文さま、郗超ちちょうに言う。


「奴は自ら負けを

 引き入れたようなものではないか!


 何故、ああも手ひどく

 軍の士気を落してしまったのだ」


郗超は答える。


「あれは粗忽な判断をもとに、

 兵士たちを振り回した、

 と言えましょう」




謝萬壽春敗後、簡文問郗超:「萬自可敗!那得乃爾失士卒情?」超曰:「伊以率任之性、欲區別智勇。」


謝萬の壽春に敗れたるの後、簡文は郗超に問うらく「萬は自ら敗れたるべし! 那んぞ乃ち爾く士卒の情を失いたるを得んか?」と。超は曰く「伊れは率任の性を以て智勇を區別せんと欲す」と。


(品藻49)




謝万

謝安しゃあんの弟。謝尚しゃしょうのあとを継いで謝氏棟梁となったが性格最悪、しかも軽率。桓温かんおんが一時奪還した洛陽らくように前燕が攻めてきたとき、簡文さまは彼を救援軍の総大将に任命した、ら、見事に大ゴケを決めた。友軍の大将が病を得てしまったために一時後退をしたのを見て「何!? 敵はそれほどまでに強いのか!?」と自軍も下げてしまった、と伝わる。

謝万があまりにもひどいコケ方をして謝氏そのものの立場がヤバくなったため、謝安が重い腰を上げた、とも言われているらしい。

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