簡文13 才性論
が、その中でも「才性論」がヤバい。
この議論に突入すると、議論相手は
熱湯の堀で囲まれた鋼鉄の城に
攻め込むような気分にさせられた。
さてそんな殷浩、
簡文さまが二人に仰る。
「ほう、論客二人かね。これは良い。
試しに議論を戦わせてみるとよい。
ただし、殷浩よ。
卿にとりて才性論は
不落の要塞の如きもの。
才性論方面に
進まぬようにだけは留意せよ」
支遁もそれを聞き、そこは避けるために、
いつもとは違う議論展開をした。
が、何度か論を戦わせているうち、
結局才性論に引きずり込まれてしまう。
簡文さま爆笑である。
「殷浩よ! 何をしておるのだ。
そちらに持って行っては
勝負が成立せぬではないか」
殷中軍雖思慮通長、然於才性偏精。忽言及四本、便苦湯池鐵城、無可攻之勢。
殷中軍は思慮に通じ長ずると雖も、然して才性にては偏えに精なり。忽ち言の四本に及ばば、便ち湯池鐵城の苦くして、之を攻むべかるの勢無し。
(文學34)
支道林、殷淵源、俱在相王許。相王謂二人:「可試一交言。而才性殆是淵源崤函之固、君其慎焉。」支初作改轍遠之、數四交、不覺入其玄中。相王撫肩笑曰:「此自是其勝場!安可爭鋒?」
支道林と殷淵源とは俱に相王が許に在り。相王は二人に謂えらく「試みに一に言を交すべし。而れど才性は殆ど是れ淵源が崤函の固なれば、君は其れ慎むべし」と。支は初め轍を改めて之を遠ざけ作す。數四を交え、覺えず其の玄中に入る。相王は肩を撫して笑いて曰く「此れ自ら是れ其の勝場なれば、安んぞ鋒を爭うべからざんか?」と。
(文學51)
才性論
鍾会の四本論の発展形のようだ。
http://3594.atehs.net/archives/142
へーほーふーん。
(頭がショートしている顔)
崤山と、その前にそびえたつ函谷関。つまりは「最も防備が固い場所」と言った意味合いになる。厨二っぽくてちょっと使ってみたいけどあんまりにも日本語小説で使うにはとっかかりがなさすぎる。
つーか簡文さま、これ「ゾウを想像しないでください」的なあれじゃないっすかね。簡文さまのせいで、どっちの頭ン中にも才性論がぐるぐるしただろうね。
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