簡文1  ねずみキラー  

簡文かんぶん帝 司馬昱しばいく 全32編

 既出:元帝3、廃帝1、廃帝2

    廃帝3、廃帝4



簡文帝かんぶんてい撫軍ぶぐん将軍の

地位に就いていた頃の話である。


撫軍府の床の上に埃が落ちていても

簡文帝は払わなかったし、

鼠が行き交っていることも、

むしろいいことだ、位の勢いだった。


ある日撫軍府の幹部が、

白昼堂々とちょろちょろしていた鼠を

しゃくでブッ叩いて殺した。


簡文さま、ムッとする。


それを見て別の配下が

あいつ懲らしめましょうか、と聞いた。


すると簡文さまは仰る。


「鼠が殺されるのを見ても

 このように嫌な思いが続くのだ。

 まして鼠のことで人を懲らしめれば、

 結局嫌な思いをするだけだろう」




晉簡文為撫軍時、所坐床上塵不聽拂、見鼠行跡視以為佳。有參軍見鼠白日行、以手板批殺之。撫軍意色不悅。門下起彈教曰:「鼠被害尚不能忘懷、今復以鼠損人無乃不可乎


晉の簡文の撫軍為りし時、坐せる所が床上の塵を拂うを聽さず。鼠の行かる跡を見る。視るに以て佳と為す。有る參軍は鼠の白日に行けるを見、手板を以て之を批殺す。撫軍の意色は悅しからず。門下の彈教せるを起つるに曰く「鼠の害を被るに尚お懷くを能く忘らざるれば、今復た鼠を以て人を損うも乃ち不可なる無し」と。


(德行37)




簡文さまの人となりを辿る

重要なエピソードな気はする、のだが、


「乃ち不可なる無し」


とかやめて……しんでしまう……

正直全く意味わかんない……


何言ってんの清談皇帝……

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