張華5  自虐の歌    

秦生と言うひとの自虐の言葉である。


「お前は

 溫顒おんぎょく荀㝢じゅんう張華ちょうか劉許りゅうきょ鄒湛すうじん鄭詡ていう

 たちに較べたらザコだ!


 溫顒はどもりだし、

 荀㝢は猫背で口数少ないし、

 張華は無駄に着飾ってばかり、

 劉許は口数だけのバカ、

 鄒湛はもごもご何言ってんのか不明、

 鄭詡は石臼に頭巾かけたみたいな面。


 だが、どいつも文章が上手い!

 だからこそその意思を広く天下に広めて、

 だからこそ宮中に取り立てられたのだ」




頭責秦子羽云:「子曾不如太原溫顒、潁川荀㝢、范陽張華、士卿劉許、義陽鄒湛、河南鄭詡。此數子者,或謇喫無宮商,或尪陋希言語,或淹伊多姿態,或讙譁少智諝,或口如含膠飴,或頭如巾齏杵。而猶以文采可觀,意思詳序,攀龍附鳳,並登天府。」


頭は秦子羽を責めて云えらく:「子は曾て太原の溫顒、潁川の荀㝢、范陽の張華、士卿の劉許、義陽の鄒湛、河南の鄭詡らに如かず。此の數なる子は、或いは謇喫にして宮商無く、或いは尪陋にして言語は希なく、或いは淹伊にして姿態多く、或いは讙譁にして智諝少なく、或いは口に膠飴の含むが如くし、或いは頭の齏杵に巾せるが如し。而して猶お文采の觀なるべくを以て、意思を詳らかに序せば、龍を攀げ鳳を附し、並び天府に登る」と。(排調7)




秦生

誰だかよくわからない。まぁ、リストアップした彼らとは親交があったんだろう。「頭が秦生を責めている」となっているので、このエピソードでは、かれの盛大な自負と、他者への嘲りを込めた、けど自虐がほとばしっている、と言う非常にかぐわしき文言が成立している。何と言うか、ねじくれておる。


荀㝢

荀彧の親戚ですね。


劉許

涿鹿郡人。ってことは劉備とも関係あるのかな。


鄒湛・鄭詡

宮中でそこそこ出世してる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る