羊祜5  従兄は滅びず  

羊祜ようこのいとこに、羊繇ようようと言う人がいた。

最終的には車騎將軍(軍部トップ)の

秘書官にまで上り詰めたが、

五人の子を残し、若くして死去。


羊繇と非常に仲の良かった羊祜、

羊繇の葬式で慟哭する。

そしてこの時、

息子の一人である羊忱ようしんの慟哭が、

大人顔負けのものであるのを見た。


羊祜は感嘆した。


「我がいとこ殿は、

 未だ滅んでおらぬのだな!」




羊長和父繇,與太傅祜同堂相善,仕至車騎掾。蚤卒。長和兄弟五人,幼孤。祜來哭,見長和哀容舉止,宛若成人,迺嘆曰:「從兄不亡矣!」


羊長和の父の繇,太傅の祜と堂を同じくし相い善く、仕えて車騎が掾に至る。蚤くに卒す。長和が兄弟の五人は、幼くして孤となる。祜の來たりて哭せるに、長和の哀容や舉止を見、宛かも成人の若きたれば、迺ち嘆じて曰く:「從兄は亡びざるなり!」と。


(賞譽11)



羊繇

羊祜と仲良かったくらいのことしか残ってない。


羊忱

羊祜に感心されたこの人は司馬倫しばりんの属官になったりしたが、どうにか八王の乱を生き延びる。も、永嘉の乱に際し殺されている。とは言えその子孫が宋書に立伝されている(羊玄保ようげんほ羊欣ようきん羊徽ようき)。ここで羊祜が息子を残さず、その系統が後世に伝わらなかったことも勘案すると、そうした「世説新語的な」現代の羊氏称揚がこの条には込められているのかもしれないですね。

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