羊祜6  墓荒らし(自家)

墓占いに長けている人がいた。

羊祜ようこの父の墓を見て言う。


「この墓勢からするに、

 この家から、将来皇帝が現れますぞ」


恐ろしい話を聞いた。その言を信じれば、

わが家がしんを転覆させる、

となるではないか!


なので羊祜、墓の後ろを掘り起こし、

強引に運勢を変えさせる。


それを見た墓占いは言う。


「それでも腕を折った三公は出ますよ」


その後まもなく羊祜は

馬から落ちて腕を折った。


そしてその官位は、

死後の官位追贈により、

三公にまで至るのだった。


ちなみに羊祜には男の子が一人いたが、

羊祜が墓の後ろを掘り起こしたのち

間もなく、死んでいる。




人有相羊祜父墓,後應出受命君。祜惡其言,遂掘斷墓後,以壞其勢。相者立視之曰:「猶應出折臂三公。」俄而祜墜馬折臂,位果至公。


羊祜が父の墓を相する人有り、後に受命の君の應に出でんとす。祜は其の言を惡み、遂には墓の後を掘りて斷ち、以て其の勢を壞す。相者は立ちて之を視て曰く:「猶お臂を折る三公が應に出でん」と。俄にして祜は馬より墜ちて臂を折り、位は果して公に至る。


(術解3)




羊祜さんの忠臣っぷりが面白すぎる。それにしてもどういう占い方すりゃ腕を折るなんてもんがわかるんだ。謎すぎる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る