武帝15 全力の太鼓持ち
けど後に反乱を起こした人、
小さい頃、田舎者と言われていた。
実際に、その喋り口も
さて、
武帝は有望な若者たちを
一所に集め、彼らと歓談した。
誰もが様々に得意分野をもち、
それに武帝は感嘆する。
王敦、呼ばれこそしたものの、
彼らのような優れたところなど
持ち合わせない。
ぐぬぬ、となる。
やがて、突然言う。
「私め、鼓吹にかけては
一家言ございます!」
なんだなんだ、と皆が訝ったが、
武帝さま、鷹揚に
太鼓を持ってくるようお命じになった。
そして王敦、立ち上がる。
袖を振り乱し、太鼓を叩く。
その音は非常に豪壮であり、
また発する気は人並み外れていた。
しかも王敦、そのままゾーンに入り、
どんどん加速していく。
おぉ、こりゃすげえな。
それを見た誰もが感嘆するのだった。
王大將軍年少時、舊有田舍名、語音亦楚。武帝喚時賢、共言伎藝之事、人人皆多有所知;唯王都無所關、意色殊惡。自言知打鼓吹。帝即令取鼓與之、於坐振袖而起、揚槌奮擊、音節諧捷、神氣豪上、傍若無人。舉坐嘆其雄爽。
王大將軍は年少の時、舊より田舍の名有り、語音も亦た楚たり。武帝の時賢を喚べるに、伎藝の事を共に言り、人人は皆な多くの知れる所を有す。唯だ王は都べて關わる所無く、意色を殊に惡しとす。自ら鼓吹を打てるを知ると言う。帝は即ち之に鼓を取らしむれば、坐にて袖を振りて起ち、槌を揚げ擊を奮い、音節は諧捷にして、神氣は豪上し、傍らに人無きが若し。坐を舉げて其の雄爽に嘆ず。
(豪爽1)
王敦(「崔浩先生」より)
これが豪壮に入ってる意味がよくわかんないんですけど。「乞われて叩いた」「バカにされて叩いてみせた」とかならわかるけど、自分から言っちゃうのってどうなの……まぁ、豪爽に入ってるってことはこういうムーヴが豪壮と当時の基準で称賛されてたってことなんでしょう。
……納得いかねえなぁ。
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