武帝12 武を収め文を修む
そこで
文武百官を集める。
そして彼らに向け、おん自ら宣言された。
「天下は収まった! ここからは、
武を収め、文に修心すべきである」
それを聞いた
いやそれまずくね? って思った。
なので他の文官たちと、
山濤自身は兵法にそれほど詳しくない。
しかし彼らと議論を重ねるうちに、
その主張は精緻を極めるようになった。
「すげえな、山濤」
みんながそう感心する。
さて、そこから時が下れば、
武帝さまのあの宣言のせいで、
諸侯の防備はお粗末なものだった。
なので、あっという間に
あぁ、
山濤の危惧したとおりになってしまった。
人々は後悔したが、既に遅い。
山濤は、孫呉の兵法を読むまでもなく、
国防の極意について直感していたのだ。
永嘉の乱のさなか、
「山濤様は、闇夜の中にあっても
道を踏み外されることはなかったのだな」
晉武帝講武於宣武場、帝欲偃武修文、親自臨幸、悉召群臣。山公謂不宜爾、因與諸尚書言孫、吳用兵本意。遂究論、舉坐無不咨嗟。皆曰:「山少傅乃天下名言。」後諸王驕汰、輕遘禍難、於是寇盜處處蟻合、郡國多以無備、不能制服、遂漸熾盛、皆如公言。時人以謂山濤不學孫、吳、而闇與之理會。王夷甫亦嘆云:「公闇與道合。」
晉の武帝の宣武場にて武を講ぜるに、帝は武を偃せ文を修むるを欲し、親しく自ら臨幸し、悉く群臣を召す。山公は爾れ宜しからずと謂い、因りて諸尚書と孫、吳の用兵の本意を言う。遂に論の究むるに、坐を舉げて咨嗟せざる無からず。皆は曰く:「山少傅は乃ち天下の名言なり」と。後に諸王は驕汰となり、禍難を輕遘し、是に於いて寇盜は處處に蟻のごとく合し、郡國の多きは以て備うる無く、制服せる能わず、遂には漸く熾盛せば、皆な公が言の如し。時の人は以謂えらく「山濤は孫、吳、を學ばずとも闇に之を理會せり」と。王夷甫も亦た嘆じて云えらく:「公は闇に道と合せり」と。
(識鑒4)
※あーなるほど、この論が出ちゃえば武帝さま sage 喰らいまくるわな。実際の武帝さまがどうであったかはともかく、世説新語におけるポジショニングとしては大いに納得致しました。
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